ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、大統領が別の女性と再婚するためにリュドミラ夫人と別れるのではないかというメディアによる憶測を否定した。=AP撮影
「これで憶測の材料はなくなった」
「プーチン氏は最近、外交儀礼上、配偶者を伴っての出席が求められる公の場面に一人で出席することが多くなっていました。その度ごとに、その理由に関する 憶測に拍車がかかっていました。これでその憶測の材料はなくなりました」と「アガニョーク」誌の元編集長ヴィクトル・ロシャーク氏は、ラジオ「 コメルサントFM」に語った。
「私たちは政治家、特に大統領について、より詳しく知りたいものです」と同氏は言う。「形だけ儀礼を守るために偽の生活を続けるかわりに、大統領がこういう行動をとったことに対して、多くの人は“安堵”を感じているはずです」。
「これは劇の最終幕か」
「信じられないニュースです。これに比べたらどんなニュースも見劣りします」とラジオ局「ビジネスFM」に対して語ったのは、ベテランのクレムリン担当番 記者で、プーチン氏に関する複数の本の著者でもあるアンドレイ・コレスニコフ氏だ。「これは劇の最終幕ではないかもしれませんが、ドラマであることに疑いは ありません。」
ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、大統領が別の女性と再婚するためにリュドミラ夫人と別れるのではないかというメディアによる憶測を否定した。
同報道官は、その噂が本当であるかどうかを問われると、「いいえ、それは違います」と、独立系ラジオ局「エホ・マスクヴィ」に対して説明した。「これは二人でお互 いに決めたことですから、それ以外のことはすべてゴシップにすぎません。大統領のスケジュールを見れば、悲惨かもしれませんが、国家元首として彼が背負っ ている責任がお分かりいただけるでしょう」。
しかしペスコフ報道官は、プーチン氏の再婚の可能性については、コメントを控えた。「報道官としてそのような質問に回答することは、私の職務範囲を越えることですが、それは単なる噂、無駄話にすぎないことははっきり申し上げられます」。
政治情報センター所長のアレクセイ・ムーヒン氏は、女性層が政治家としてのプーチン氏により興味をもつことで、大統領の支持率が上昇する可能性があると付け加えた。=AP通信
「かえって大統領に親近感が増すかも」
シンクタンク「ミンチェンコ・コンサルティング」のエフゲニー・ミンチェンコ所長は、離婚はプーチン氏の個人生活の問題であり、彼の評判を傷つけるものではないと語った。
「ロシアは“許容度の高い”世俗国家です。離婚はありふれたことで、多くの人々が経験することです」とミンチェンコ氏は、ロシア通信に対して語っ た。「『これは大統領にさえも起こりうることなのか』と多くの人に考えさせるきっかけとなり、かえって大統領に対する親近感が増すかもしれません」。
政治評論家のウラジーミル・スラティノフ氏は、プーチン氏のジレンマに同情を感じるという。
「プーチン氏はこの離婚をやむなく受け入れたのです。彼は、個人生活は閉ざされたトピックであるべきという考えの政治家ですから、それは難しい決断だったに違いありません」と彼は述べた。
スラティノフ氏は、離婚がプーチン大統領の支持率に多大な影響を及ぼす可能性はないだろうと予測している。「残念がる人もいるでしょうが、彼の率直さに理解を示す人もいるでしょう」。
「女性層の支持率上昇?」
政治情報センター所長のアレクセイ・ムーヒン氏は、この離婚が礼儀に則って行われたことは重要だと指摘し、これにより、女性層が政治家としてのプーチン氏により興味をもつことで、大統領の支持率が上昇する可能性があると付け加えた。
「私はプロホロフ氏が大統領選に出馬したときの報道の過熱を覚えています」と、ムーヒン氏はロシア通信に語った。
億万長者のミハイル・プロホロフ氏(48歳)は、ロシア国内でも最も裕福な一人に数えられる独身男性で、「フォーブス」誌によれば、その推定資産総額は130億ドル(約1兆3000億円)におよぶ。
2012年3月、プロホロフ氏は大統領選でプーチン氏、共産党党首のゲンナジー・ジュガーノフ氏に続いて3位の得票率だった。ムーヒン氏は、プロホロフ氏が独身であることに触れて「プロホロフ氏は間違いなくそのセールスポイントを利用しました」と説明する。
「政治家の模範的離婚」
戦略コミュニケーション政策研究所のドミートリ・アブザロフ副所長は、世界はより開放的になりつつあり、投票者は以前よりも率直さを評価するようになった点を指摘する。
「現代の政界には、最後まで何もかもを隠し通すことを重んじる考えが残っていますが、強い政治家は立派な男として振るまい、礼儀正しく、まじめに、オープンな形で妻子と別れることができるようでなければなりません」とアブザロフ氏は言う。
同氏の考えでは、通常、政治家の個人生活が支持率に影響することはほとんどないという。「これがプーチン氏の支持率に影響を及ぼすことはまずないでしょう」とアブザロフ氏は指摘する。
「判断を下すことができるのは総主教さましかいない」
ロシア正教の信者は、戸籍登記所で婚姻を登録した後、教会で結婚式を挙げる。プーチン氏の結婚は世俗的なものだったが、概して、離婚に対する正教会の態 度は冷ややかなものだ。
しかし、正教会専門家協会の会長であるキリル・フロロフ氏は、正教会の長であるキリル総主教は「多くの夫婦が行う決定に同 情する」であろうと述べている。
フロロフ氏は「今日の悲しいニュースについて判断を下すことができるのは総主教さましかいないと私は考えます」と、自身のLiveJournalブログに 書き込んだ。「総主教による判断は同情、愛、正義と道義に満ちたものであるに違いないと確信しています」。フロロフ氏はまた、「反ロシア勢力があざ笑 い、批判するのを防止する」ために、クリスチャンたちが祈るよう呼びかけた。
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