タバコの煙のない社会へ

=Lori/Legion-Media撮影

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ロシア下院(国家会議)は1月25日、第二読会で反タバコ法案を可決した。国内の愛煙家は新しい規則に1年で慣れるか、禁煙するかのどちらかしかない。

法案「環境たばこ煙の悪影響および喫煙の有害な結果から市民の健康を守ることについて」は、連邦保健省が作成した。同省は、国内に成人の40%以上にあたる4400万人の喫煙者が存在し、さらに40万人弱のロシア人が毎年、喫煙を原因とした病気で死亡していると報告している。

反タバコ措置の多くが2013年6月1日から施行され、病院、生産現場、街中や郊外の交通機関、国家機関など、公共の場での喫煙が禁止される。地下鉄駅、鉄道駅、空港の場合、そこから15メートル以上離れた場所でようやく喫煙できる。集合住宅の階段やエレベーターなどでも喫煙できなくなり、換気付きの特別な「隔離されたスペース」がある場合に限り、許可されるようになる。

2段階で禁煙措置を強化 

2014年6月1日からは、ホテル、レストラン、カフェ、バー、長距離旅客列車や旅客船、郊外の電車駅の待合プラットフォームなどでも喫煙できなくなるし、駅や空港ではタバコを購入することもできなくなる。

飲食店については、バーやアルコールが販売されているコンサート会場などの利用者が、まず影響を受ける。モスクワでレストラン「プロストィエ・ヴェシチ(簡単なもの)」2軒を経営しているエレーナ・ドグゾワ氏は、こう考える。「通常時間的に余裕のある人が訪れるレストランでは、特に問題は起きないのではないか。料理がふるまわれるまでの合間に、レストランの外でタバコを吸うことが可能なためだ。短い時間内に食べたり飲んだりするような飲食店だと、一部の顧客を失う可能性はある」。

守られるかどうかは別問題 

モスクワ発シベリア行きの路線など、2日以上も乗っていなければいけないような長距離列車で、乗客がどのように規則を守るのかは今のところ不明だ。

それは販売サービスでも同様である。キオスクなどの売店で、売り上げの大部分を占めているのがタバコだからだ。2014年からタバコの販売が許される場所は、商業店舗や特別なパビリオンの中だけで、それもタバコを並べるのではなく、価格の書かれたリストを表示することが許されるだけだ。

これでも当初国が定めようとしていた規則よりは、ずいぶん優しくなっている。最低価格の決定権は、国ではなく、事実上タバコ会社に与えられたし、免税店のタバコ販売も禁止されず、ガムタバコや嗅ぎタバコなどが対象外になった。

専門家は賛成、国民は反対 

専門家らは総じて、このできあがった法案を肯定的に評価している。専門家の一人はこう話す。「保健省の主な成果は、公共の場での禁煙を導入できたことだ。世界の実績によると、この措置がとられるだけで梗塞を15%減らすことができる。また、タバコの陳列を禁止すると、未成年の喫煙を10~15%減らすことができる」。

一方で、ロシア人の大部分が、公共の場での完全な禁煙に反対していることは特徴的だ。ロシアの世論調査機関「レバダ・センター」の調査によると、70%のロシア人は禁煙ではなく、喫煙の制限を支持しているだけだ。例えば、バーやレストランでの禁煙を支持しているのはそれぞれ16%と17%で、73%が制限だけなら支持できるとしている。10%はバーでの喫煙を、7%はレストランでの喫煙を許可すべきだと考えている。

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