シベリアで新型核燃料の生産開始

MOX燃料=

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報道写真
 新たな原発用燃料生産テクノロジーは、放射性廃棄物の排出削減を可能とする。このテクノロジーの出現は、露米政府間協定の成果となった。

 クラスノヤルスク地方にある核技術者の町ジェレズノゴルスクで、2015年秋、高速中性子炉用の新世代のMOX燃料の生産が始まった。この工業コンプレックスは、今のところ世界で唯一の施設である。

 新たな原発用燃料生産テクノロジーは、放射性廃棄物の排出削減を可能とし、原子力経済におけるゼロウェイスト・テクノロジー創出へ現実的な道を開くものだという。生産開始のベースとなった鉱業化学コンビナート(MCC)のピョートル・ガヴリロフ所長は、こう語る。「最近うちのコンビナートを訪れたフランスの同業者らは、視察したものを高く評価し、うちのテクノロジーが第三どころか第四の世代に属することを認めさえした」

 

過去の問題の解決のための新たな生産施設

 MOX燃料の生産開始は、重要かつ多くの点で象徴的な出来事となった。1950年代半ばに極秘裡に兵器用プルトニウム製造用の地下の鉱業化学コンビナート(MCC)が創設されたのは、ここジェレズノゴルスクにおいてだった。山の内部に三基の工業用原子炉と複雑な放射化学施設を設置するためには、何キロメートルにも及ぶトンネルの敷設および地下工場の設営が必要となった。

 鉱業化学コンビナート(MCC)の三基の地下原子炉は、何十年にもわたり、ソ連における核兵器製造のために利用されるプルトニウム239を生産した。しかし、一連の露米(それ以前はソ米)協定の締結後、すべてのプルトニウム生産炉は、露米双方において段階的に停止されることになった。政府間協定は、また、兵器用プルトニウムのMOX燃料への加工の面でロシアと協力することを米国に義務づけた。

 そのため、ジェレズノゴルスクの三基の原子炉のうち最後の一基が停止された後、地下工場がMOX燃料生産用に転換されることになった。

 MOX工場および高速増殖炉BN-800を備えた発電ユニットの創出は、露米協定の履行義務のロードマップにおける最も難しい関門だった。ロシアは、すでに自国が背負った困難を克服し、今は米国側から同様の成功を期待している。プルトニウムの再利用に関する協定は、2018年から機能しはじめることになっている。

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