リオ五輪でジカ熱予防するには

ロイター通信
 「世界保健機関(WHO)」は、「ジカ熱」ウイルスの感染が拡大していることを受けて、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。感染はアメリカ大陸のすべての国で確認されており、さらにヨーロッパでも初の感染例が明らかになった。感染リスクを減らすにはどうしたらよいのだろうか。ロシアのウイルス学者、極東連邦大学(ウラジオストク)のミハイル・シチェルカノフ教授、ノボシビルスク国立大学(ノボシビルスク)のセルゲイ・ネチョソフ教授に、ロシアNOWが聞いた。

 ジカ熱ウイルスはエボラ・ウイルスとは異なり、致命的ではないものの、小頭児の誕生につながるようである。つまり発育に深刻な遅延を引き起こすなどする、先天的な頭蓋骨とその結果としての脳の発達異常を抱える新生児である。

 2015年10月以降、五輪開催目前のブラジルだけでも、ジカ熱に感染した母親から誕生した新生児の小頭症が4000件以上記録されている。

 ジカ熱ウイルスはウガンダで1940年代に発見されていた。ここでの自然保菌体は猿である。地元住民にはウイルスに対する強い免疫ができているが、世界的には媒介体の蚊が南米に発生し、勢い良く拡散して、ウイルスに”気づいた”ばかり。

 免疫のない集団にウイルスが到達した結果が、現在のアメリカ大陸の状況である。

 アメリカ大陸以外では、南極大陸を除く世界のほぼすべての場所でこれらの蚊(ネッタイシマカおよびヒトスジシマカ)が確認されている。ジカ熱の他にデング熱、黄熱、西ナイル熱のウイルス、またあまり知られていない数百種のウイルスを保菌している。

 ジカ熱のワクチン開発は今始まったばかりであるため(開発はアメリカ、またヨーロッパ、ロシアで行われている)、しばらくは予防策を講じて対応するのが一番良いと、ロシアのウイルス学者はロシアNOWに説明した。

 予防策は次の通り。

 

妊婦への警告

 ジカ熱は母胎にいる胎児にとって主な脅威となるため、妊婦は熱帯の国に渡航すべきでないと、ウイルス学者は警告している。妊婦がすでに熱帯の国にいるならば、必要な場合を除き、エアコンのきいた施設から出ないようにする。また感染の有無の診断を妊娠前にする。

 

個人の予防

 主な防護手段は網戸と蚊帳、露出しない長い服、虫除け。媒介体の蚊はどこよりも自然や街の郊外にたくさんいるため、リスクを高めないよう、自然への接触を制限する。

 

性交渉の制限

 ジカ熱に感染した男性から、性交渉を通じてウイルスがうつるという情報は、今のところ否定されていない。回復後少なくとも3週間は感染の恐れがあるようだ。

 

渡航の計画

 ジカ熱や他の危険な病気の感染が確認されている国に渡航するならば、事前に予防策を講じた方が良い。今年の最大スポーツ・イベントの一つが、感染の広がるブラジルで行われる。

 

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