アメリカ製「カラシニコフ」発売

グリゴーリイ・シソセフ撮影/タス通信

グリゴーリイ・シソセフ撮影/タス通信

アメリカの銃器会社「ロシアン・ウェポン・カンパニー(RWC)」が、アメリカ国内の工場で製造された自動小銃「AK-47」の販売を開始した。ロシアの武器大手「カラシニコフ」社がアメリカの経済制裁の対象になるまで、RWCはカラシニコフ・ブランドの銃の公式輸入・販売者だった。ロシア側の反応は落ち着いており、これに対抗するために、販売市場の多様化をはかり、民間用武器の質を高め、軍への売上高を増やすと約束している。だが、このように楽観的になれる根拠などあるのだろうか。

 まず、アメリカや他の世界中の国で、なぜ、誰が、いかにカラシニコフ社の製品を購入しているのかを知る必要がある(軍やその他の法執行機関の購入については除外し、小売について書いてみる)。ここでは、国は2つのカテゴリーにわかれる。それは武器の所持および保管がまだ合法な国とすでにそうでない国。前者は自己防衛と狩猟のための市民の銃のみの話で、後者はこれに戦闘モデル(または外観がそれに似ているもの)が加わる。

 

武器メーカーにとってのアメリカ市場の意味 

 カラシニコフ社にとって、どちらの市場の方が重要なのだろうか。答えは明白だ。後者の方が好ましい。では、一人当たりの銃の合法所持率がもっとも高く、購買力にもとづく需要がもっとも高い国とはどこだろうか。これは誰でも知っている通り、アメリカである。あらゆる武器メーカーにとってアメリカ市場は極めて重要で、メッカとの違いと言ったら、ただそこに行くだけではなく、全力でできるだけ長くしがみつく必要があることぐらいだ。カラシニコフ社にとっても例外ではない。無限に広がるタイガのあるロシアでさえも、その狩猟者の人数はあらゆる種類の武器を収集するアメリカの愛好家の人数におよばない。カラシニコフ営業部のヴァシリー・ブロフコ部長によると、アメリカ市場では自社の民間製品の90%を販売していたという。

 アメリカに納入していたのは、人気のカービン銃「サイガ」(カラシニコフ自動小銃の民間版)を含む民間用の狩猟・スポーツ銃、カービン銃「ロシ」、「バルス」、「ソボリ」、「レコルド」、猟銃。また、アメリカ警察の下部組織向けの半自動散弾銃「サイガ12」も製造していた。だがアメリカ向け輸出の大半を占めていたのは(50%強または年間10万丁以上)、マトリョーシカや耳あてつき毛皮帽などと同様にソ連のシンボルとしてコレクターの間で高く評価されている、民間用「AK-47」である。これらの自動小銃は保管や自然の中でのまれな射撃用に購入されるため、潜在的な所有者にとって質はそれほど重要ではない。この意味で、カラシニコフ社の「類似品とは質の異なるまったく別の新製品を製造して、この現象(アメリカでのAK-47製造)と闘う」という声明はとても驚きである。

 

制裁前から1116工場でAKベースの銃を製造 

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AKの画像が商標に

 RWCのジェイ・ポーツ副社長は、アメリカの消費者の論理を誰よりもうまく説明している。「例えばワインについて考える時、何が頭に浮かぶかというと、フランス・ワイン。これと同じで、AK-47がロシア製ならオリジナルだから最高級品。これが本当か否かはあまり重要ではない」

 とはいえ、オリジナルの輸入が禁止された後、RWCはAK-47の製造をちゅうちょしなかった。というのも、ソ連では著作権問題に対する関心がほとんどなかったため、ソ連崩壊後に世界のあちこちでAK-47のコピー品が製造されるようになり、少なくとも20ヶ国でそれが行われているためだ。アメリカでも、対ロシア経済制裁が発動される前から、11州16工場でAKベースの銃が製造されていた。

 カラシニコフ社がアメリカ市場からの退却を余儀なくされると、RWCは同社との過去の協力を競合他社との闘いに活用しようとするようになった。それはRWCの「Made in USA」カラシニコフの広告のキャッチコピー、「ロシアの遺産~アメリカの革新」が証明している。

 

巨大な穴は埋まるか? 

 さて、ロシアの権利所有者はどうするのだろうか。今のところ、これを「予測可能」な事態と称しながら、極めて“優しい”声明を行っている。制裁が解かれた後、アメリカ市場に戻れれば、と期待しているようだ。

 カラシニコフ社は現在、アフリカ、中東、東南アジア、中南米の「小さな」市場にたくさん製品を投入し、さらに軍用製品をより積極的に販売しながら、アメリカの巨大市場での損失を穴埋めする計画を立てている。同社は今年の軍用製品の販売を3倍(主にロシアの国家防衛の受注で)と予測しているのだ。

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