Shutterstock / Legion-Media撮影
メール・ル・グループが外国の著作権保持者との協議を開始したことについて、ヴェドモスチ紙が報道している。
国際知的財産権同盟(IIPA)は9月末、ロシアが依然として、2012年のWTO加盟後に課された知的財産権保護の義務を履行していないと指摘。主な海賊リソースとして、メール・ル・グループの完全な管理下に入ったばかりの交流サイト(SNS)「フコンタクチェ」をあげていた。
メール・ル・グループはこれ以外に、ロシアで人気の高いSNS「オドノクラスニキ」、「モイ・ミール」、メッセンジャー「アゲント・メール・ル」、ICQ、ロシア最大のフリーメール・サービスなどを保有している。これらのサービスを利用しているのはロシア人だけではない。他国語版も提供されている。
合法化の問題
「オドノクラスニキ」、「モイ・ミール」、「フコンタクチェ」のユーザーは今日、無料で音楽を聴くことができ、外部のアプリを使えば音楽をダウンロードすることもできる。これがコンテンツ削除要求などを求める訴訟の理由になっている。
メール・ル・グループはユニバーサル・ミュージック、ソニー・ミュージック、ワーナー・ミュージックなど、海外の大手音楽企業と以前から都度協議を行っているが、価格面で折り合わず、合意にはいたっていない。「各大手音楽企業が、メール・ル・グループのそれぞれのプロジェクトから年間300~500万ドル(約3~5億円)ずつ徴収しようと考えている。だがすべての企業にこのような額を支払う用意はメール・ル・グループにない」と、関係筋は伝えている。
メール・ル・グループはオドノクラスニキ、モイ・ミール、フコンタクチェのすべてのSNSで音楽を合法化するため、大手音楽企業との協議に、アメリカの音楽業界で有名な弁護士ジョエル・カッツ氏を雇った。カッツ氏はすでにモスクワ入りしている。
メール・ル・グループとフコンタクチェの広報部はロシアNOWの取材に対し、「この協議でコンセンサスが見つかり、全インターネット市場にとって象徴的な合意にいたる」ことを望んでいると述べた。
ロシア人ユーザーには支払う用意
昨年、800万人のロシア人が少なくとも1回、合法的なインターネット・コンテンツの利用にお金を支払っている。ロシア連邦情報技術・通信省のデータがこれを証明している。今年はこの数字が著しく高まると、専門家は考えている。ロシアのインターネットにおける合法コンテンツの1ヶ月の利用料は、平均100~500ルーブル(約250~1250円)。企業はあまり多くの金額を稼ぐことができない。利益は主に、そのようなウェブサイトの広告料である。
ロシアのサイバー・セキュリティ会社「グループIB」海賊対策部のアレクサンドル・トゥシュカノフ部長は、ネットへの海賊版コンテンツの投稿を「深刻なサイバー犯罪」と評価する。問題の解決策として、「質が高く、便利で、お手頃価格の合法コンテンツのサービスの創設と、国民への広い宣伝」をあげる。「ユーザーが1ヶ月300ルーブル(約750円)を支払い、国内外のドラマや映画を見るというインターネット・プラットフォームの『アメディアテカ』社と、グループIBは協力している。このプラットフォームの人気が高まっているということは、合法コンテンツにお金を支払う用意がロシア人にあるということ」
モスクワ国立大学ジャーナリズム学部マスメディア権利センターのイワン・パンケエフ所長は、著作権保持者とロシアのインターネット企業の協議が、世界のインターネット不法コンテンツ問題の対策において、重要な中途段階だと考える。
ロシアの大手IT企業「ヤンデックス」広報部のオチル・マンジコフ部長は、インターネットへの合法コンテンツ掲載の問題が、ユーザーだけでなく、著作権保持者自身にもわかりにくいと話す。「2010年に『ヤンデックス・ミュージック』サービスを始める前に、5年間著作権保持者と交渉した。ストリーミング・サービスの著作権がいかに定められているのかについて、はっきりとはわかっていないようだった」
今日「ヤンデックス・ミュージック」に訪問するユーザーは1ヶ月600~800万人。海外の大手企業はどこも提携している。曲数は1800万曲。インターネットの「ヤンデックス・ミュージック」は無料のサービス。モバイル版の利用料は1ヶ月149ルーブル(約373円)。「インターネット・アプリ・サービスの料金から利益は得られない」そうであるが、「質の高い合法コンテンツに対するユーザーの需要が高まっているため、サービスを発展させる予定」だと、マンジコフ部長は説明した。
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