FEFU生物医学学院では詳細な会議の後、昆布やクラゲ、ウスリータイガの野生植物などを加えた料理の試食会が行われた。=ヴァレンチン・トルハネンコ撮影
取り合わせの妙 で機能性強化
FEFU生物医学学院では詳細な会議の後、昆布やクラゲ、ウスリータイガの野生植物などを加えた料理の試食会が行われた。
広海十朗教授と鳥居恭好准教授は、種類の多さに驚いていた。試食会でふるまわれた食べ物は、昆布入りソーセージ、備前クラゲ入りサラミ、ナマコと昆布入りレバー・ペースト、藻貝の熱水抽出物入りマヨネーズ、極東植物の抽出物入りヨーグルト、紅藻入りカボチャ・ネクター、フコイダン入りウエハース、また血圧の昇降に効くグミやチョウセンゴミシをベースにしたキャンディーなど。
FEFU生物医学学院の副校長で、バイオテクノロジー・機能性食品講座の主任であるタチヤナ・カレニク氏は、ロシアNOWにこう話した。「15年前、太平洋国立経済大学を組み込んだFEFUが創設される前に、パンからお菓子までの、昆布を入れた食品のレシピを開発し始めた。水溶性アルギン酸塩繊維が多く、ゲルになりながら水になじむ。これを摂取すると免疫が強化され、重金属(鉛、カドミウム、ヒ素、水銀)やシアン化物などの水溶性有毒物質の対内排出を助ける。昆布が体に良いことはよく知られているが、知りつくされているわけではない。そこで日本側に研究継続を提案した」
日本の代表団にはカボチャ・ネクター、キャンディー、ソーセージ、また日本ではあまり食べられていないものの、レバー・ペーストが好評だったという。
「ナマコが入ったことでレバーの味がマイルドになった。広海教授は、白パンなどと食べてこんなにおいしいとは、と話していた。ナマコには、抗腫瘍作用や免疫促進作用のあるトリテルペングリコシドが含まれている。このペーストを100グラム食べるだけで、半日分のベータカロテンと一日分の食物繊維を摂取できる」とカレニク氏。
9月には日大側が試食会
極東で昆布やナマコはそれなりに普及している食べ物ではあるが、クラゲへの関心には驚かされる。中国人が沿海地方でクラゲをとり、中国に輸出していることは知られているが。カレニク氏によると、マンガン、クロム、鉄、アルミ、銅、チタン、セレン、17アミノ酸など、クラゲには化学成分が豊富に含まれているのだという。スパイスを使えば味を調えることができる。
この共同プロジェクトは3段階、各3年の長期プロジェクト。両国の研究者は褐藻を研究し、健康食品のレシピを増やす。9月には日大の関係者が再びウラジオストクを訪問し、今度は自分たちの料理の試食会を行うという。
カレニク氏によると、ロシア極東のメーカーもすでに新しい食品の生産に関心を示し始めており、ソーセージや肉の半加工品のメーカーの一社は、昆布入りソーセージの生産ライン立ち上げの準備を行っている。海藻が入ることで、ソーセージの価格は15-30%安くなるという。
FEFU生物医学学院では、宇宙飛行士や極地隊員のための食品を開発する、実験工場の建設も計画されている。
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