テフニカ・モロジョージ誌の表紙、1971年
ウェットスーツ
アレクサンドル・ベリャーエフは1928年、長編小説「両棲人間」を出版した。子供時代にサメのえらを移植された、イフチアンドルという青年が主人公 で、薄く体にはりつくスーツ、足ヒレ、手袋、レンズの厚い眼鏡を使いながら、海の中で長い時間を過ごしている。
このような装備は、ダイビング、サーフィ ン、水中ハンティングをする現代人にとっておなじみだ。第2の皮膚のように密着し、体を保護するネオプレン製の現代のウェットスーツは、1950年代にアメリカで登場した。
電子新聞
電子新聞を読むガジェットについては、ソ連のSF作家キル・ブルィチョフが1978年に書いていた。中編小説「100年後」の中で、スマートフォンやタブレットに似た装置が出てくる。ただしその装置の名称は新聞だ。主人公がシガレットケースに似た黒い箱の側面を押すと、多色の画面が現れ、そこに月のフェスティバルや国連の会議に関するニュースが表示される。
電子新聞のアイデアは1970年代に存在していたものの、現代の装置に似た電子リーダーが初めて登 場したのは1992年だ。
メディア図書館
すっかり慣れた動画やオーディオブックは、アレクセイ・トルストイが1923年に書いた長編小説「アエリータ」の主人公にとって、驚きの発見だった。地球人2人が火星で崩壊した街を発見し、図書館に入ってみる。するとそこで、紙の本だけでなく、動画が放映されているテレビ画面を目にする。主人公の一人で ある技術者のロシは、メモリー・カードに似た物や、美しい音楽の流れる本を見つける。
ホログラム(立体写真)
イワン・エフレーモフは、1945年に出版された短編小説「過去の幻影」の中で、ホログラムの現象を描いている。この2年後、デーネシュ・ガーボルはホログラムを発見する。本の主人公は、化石樹脂の層にティラノサウルスを発見した、古生物学者だ。
ガーボルはホログラフィー技術を1971年に発明し、これ によってノーベル賞を受賞した。ガーボルは電子顕微鏡を完成させようとしていた時に、どうやったら光線を使って立体写真をつくれるだろうかと考えた。
石油食品
エヴゲーニイ・ザミャーチンは、1920年に出版された長編小説「われら」の中で、人類が石油製品を発明し、飢餓の問題を完全に解決したと書いている。 人種、名前、ファッション、プライベートな生活がなくなった世界で、石油精製の際にできる食用キューブが人々に与えられる。
1950年代から、石油炭化水素の微生物合成が、たんぱく質、ビタミン、抗生物質の生産に使われるようになった。
原子力エネルギー
アレクサンドル・ボグダーノフは、1908年に出版された長編小説「赤い星」の中で、惑星間原子力装置について描いている。火星のエテルネフ(宇宙の媒体エーテルを旅する船)は、アルミとガラスの卵の上にあがると、秒速50キロメートルまで速度が上昇する。放射線物質の元素がエンジンの中で分解し、放出されたエネルギーがエテルネフを動かすのだ。
イギリス人物理学者のジェームズ・チャドウィックは1932年、中性子を発見し、核物理学の新しい展望を切り開いた。これによって1935年、ノーベル賞を受賞した。
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