ロシアの大手石油会社ロスネフチのイーゴリ・セチン会長は11月6日、東京での会議「エネルギーブリッジ・ロシア―日本」で、サハリンの新プロジェクト参加を日本に提案した。
セチン会長は「東シベリア・極東の産地では近く採取量が拡大される計画だ。年間採取量は石油が3000万トン、天然ガス160億立方㍍をそれぞれ上回る予定だ」と語った。
ロスネフチが日本に参加を提案するのは埋蔵量60億バレル以上のアップストリーム・プロジェクトだ。
石油・ガス分野で露日協力の潜在力は十分に活用されていない、とセチン会長は指摘した。
国家エネルギー安全基金(NESF)のアレクサンドル・パセチニク分析局長は「投資者、テクノロジー所有者としての日本は大きな潜在力を備えており、アジアのパートナーに日本を加えられたら、すばらしい」と述べている。
ポータルサイト「Fxバズーカ」のアナリスト、ユーリイ・プロクディン氏は、ロシアのプロジェクトへの日本の参加が向こう5~7年間にわたって安いロシア産石油を事実上無制限に入手できることを可能にする、とみている。
「ロシア産石油はブレント原油に特性がよく似ているため、かなり人気がある。地理的に近いことやロシアの生産設備を使用する可能性は、極めて大きな利点の一つである」と同氏は語る。
セチン会長は「ロシア向け以外の日本企業の投資の効率は極めて低いことが多い。私たちの知る限り、この3年間で日本企業は米国とカナダでの採取困難な石油とガスのプロジェクトおよび北海の石油資産への投資が不首尾に終わり、約6000億円(約60億ドル)の損失を被った」と語った。
パセチニク局長は「ロシアの採取プロジェクトへの参加は地政学的リスクや地理的な観点から魅力的なはずだ」と強調する。
サハリン地域は露日協力発展の拠点の一つになり得るとして、「今のところ、すべてこれらの可能性は日本も加わっている西側の対露制裁という要因によって阻まれている」と述べた。
プロクディン氏は制裁撤廃か3~4カ月程度の延長であれば、早くも来年に状況が改善し得る、と考えており、「制裁が撤廃されれば、日本は新たな産地探査の分野など、ロシアの石油採取部門に関する投資プロジェクトを再開できる」と語る。
しかし、石油ガス部門における日本の投資動向は原子力発電所が再稼働されるかどうかにもかかってくる。
パセチニク局長は「日本では、福島第1原発事故後、原発停止に起因する必要なエネルギー資源調達のために数千億ドルを追加支出した」と説明する。
しかし、このところ原発再稼働に期待がかけられており、向こう数年のうちに石油の消費量が減少する可能性がある。
ただ、ロイター通信によれば、日本の原発は一部が再稼働しても、日本経済に必要なエネルギーの10%を満たすのにすぎない。
日本のエネルギー需給について、プロクディン氏はこう推測する。
「原発再稼働のテンポからすると、すべての原子炉がフル稼働し始めるまでに数年かかる。日本にとっては、ロシアから必要量の石油を輸入するばかりでなく、将来のためにある程度の備蓄も行うことが妥当であろう」
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