プーチンのタイガでの週末

プーチン大統領、2013年の釣りで

プーチン大統領、2013年の釣りで

アレクセイ・ニコリスキー/ロシア通信
 ウラジーミル・プーチン大統領は、シベリアのタイガで週末を過ごした。ロシアの大自然の中でのトレッキング、釣り、極限スポーツなど、アクティブな休暇を好む。政治学者によれば、こうして国内で休暇するよう国民に呼びかけ、同時に自分のエネルギッシュなところを示しているのだという。

 ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は2日、プーチン大統領がシベリアの森にいると記者団に話した。シベリアの都市クラスノヤルスクを実務訪問した後、休暇をとり、大自然の中で過ごすことにした。ペスコフ報道官によれば、「野外条件」で最寄りの集落から400キロ離れた場所にいたという。タイガで2泊し、3日朝、モスクワに戻った。

 プーチン大統領が文明から離れた場所で休暇を過ごしたのは初めてではない。2014年の自身の誕生日である10月7日、休みをとってはるばるシベリアまで行った。山の中をほぼ9キロ歩いた。その後、体のあちこちが痛くなったという。

 

意義深い釣り

プーチン大統領、2013年の釣りで=アレクセイ・ニコリスキー/ロシア通信プーチン大統領、2013年の釣りで=アレクセイ・ニコリスキー/ロシア通信

 トレッキング以外にも、釣りが大好きだ。ドミトリー・メドベージェフ首相、セルゲイ・ショイグ国防相と、何度か釣りに行っている。2011年8月17日に釣りをした際は、当時首相だったプーチン氏が大統領選に出馬すること、大統領だったメドベージェフ氏が首相の座に就くことが決まった。

 2013年の釣りでは、プーチン大統領が21キロ(クレムリンの発表)のカワカマスをルアーで釣った。大喜びしたプーチン大統領はカワカマスにキスをし、後に、このできごとで釣りが心から好きになったと話している。

 

アイスホッケーとスキー

アレクセイ・ニコリスキー/ロシア通信アレクセイ・ニコリスキー/ロシア通信

 ペスコフ報道官は、プーチン大統領の新年の過ごし方について話した際、水泳とアイスホッケーが好きで、「機会さえあれば毎日行っている」ことを明かした。アイスホッケーには特に夢中だ。しばしば「ナイト・ホッケー・リーグ(NHL)」の試合に出場している。NHLはプーチン氏の呼びかけで2011年に創設された。2015年には、NHLの記念試合に「NHLスター」チームのメンバーとして出場し、7得点をあげた。

メドベージェフ首相、プーチン大統領=ドミトリ・アスタホフ/タス通信メドベージェフ首相、プーチン大統領=ドミトリ・アスタホフ/タス通信 

 プーチン氏が好きなもう一つのスポーツはスキー。特に、海外の首脳と滑ることを好む。最近では、カザフスタンのアルマ・アタを訪問した際、同国のヌルスルタン・ナザルバエフ大統領と一緒に滑った。

 専門家は、プーチン氏のアクティブな休暇には、国民へのシグナルがあると考える。64歳でも、昔と変わらず、活発でエネルギーに満ちていることを示したいのだと。「有権者にはうけているのだから、悪いことではない。皆、健康で強い大統領が好きなんだ」との、政治学者ドミトリー・トゥリチンスキー氏の意見をラジオ局「コメルサントFM」が伝えている。

 

ぜひトゥヴァ共和国へ

 プーチン氏は、ロシアで休暇を過ごすことを好む。スキーをする場所は主にモスクワ郊外と南部ソチであり、カワカマスを釣ったのはトゥヴァ共和国(東シベリア南部)の湖である。トゥヴァ共和国は国内でも旅行者にとって決してメジャーな地ではない。だがプーチン氏はよく訪れる。2007年にはモナコ公国のアルベール2世をここに招いたし、2009年には半裸で馬に乗る有名な写真をここで撮影している。

 トゥヴァ共和国のショルバン・カラオール首長は今年1月、プーチン大統領とアメリカのドナルド・トランプ大統領の会談をここで開催してはどうかとの提案もしている。「プーチン大統領とトランプ大統領は未開のタイガで意気投合し、本音を言い合えるだろう」とカラオール首長。

 政治学者によれば、プーチン大統領の国内での休暇も、国民へのメッセージだという。海外に行かずに国内で時間を過ごそうとの呼びかけである。「プーチン大統領は、国民や外国人観光客にあまり知られていないさまざまな旅先を振興している。観光ブランドとしてのロシアをオープンにアピールしている」と、「政治・経済情報会社」の最高経営責任者であるドミトリー・オルロフ氏はロシアNOWに話した。

ドミトリ・アウタホフ/ロシア通信
アレクセイ・ドルジニン/ロシア通信
アレクセイ・ニコリスキー/ロシア通信
ロイター
 
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特殊機関員の頭痛の種

 一方で、プーチン大統領の休暇は何よりも自身の選択であり、クレムリンの政治戦略家の案ではないと言う専門家もいる。「そんなことを強制しようとする人はいないだろう」と、独立系政治情報センターのアレクセイ・ムヒン所長は話す。

 ムヒン所長によれば、プーチン大統領はエクストリーム(極限)が好きで、時に補佐役を困らせることもあるという。「プーチン大統領の好奇心とエクストリームな休暇への愛は、多くの面でロシアの特殊機関員の頭痛の種になっている」と話した。タイガの中を歩いている大統領の安全を確保するのは簡単なことではない。とはいえ、プーチン大統領が好きなように余暇を過ごすことに、側近は対応していかなければならない。

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