すでに数年にわたり「イスラム国」や「アル=ヌスラ戦線」(どちらもロシアで禁止されている)を含むさまざまなテロ組織とシリア軍の間でゾーンに分割されているシリアの経済的な「首都」アレッポに住むアミール・スリマンさん(25歳)は、こう語る。「ロシアの介入は、私たちに希望を抱かせてくれました。私たちは、これでようやく戦争が終わって自分の家へ帰れると思っています」
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私は、アミールさんが自分をロシアへ運ぶ非常事態省の輸送機を待つラタキアの空港で話を伺った。アミールさんは、こう語る。「私の母親はロシア人で、父親はシリア人です。戦闘員らは、アレッポのわが家を奪い、私たちは、ラタキアへ逃れました。これから、建築家を目指して勉学を続けるためにペテルブルグへ向かいます。私は、学び終えたときに戦争も終わって建築家がふたたび必要とされるよう願っています。私たちは、破壊されたものをすべて再建します」
いつそうなってアミールさんがまた祖国へ戻れるかは、今のところ分からない。戦闘は、ラタキアの北方わずか30キロの地点で続いており、そこでは、シリア軍が、戦闘員らがそこを経由して補強と弾薬を受けるトルコとの国境を、管理下に置こうとしている。
ラタキア市内では、2011年8月に市街戦が行われたものの、戦争の徴候は何ら見られない。地元の住民は、晩にはカフェに集まり、休日には家族の祝い事をしている。昼間はビーチにも人がおり、水着姿の女性たちが自由気儘に振舞っている。こうした人たちがイスラム主義者たちを歓迎しないのは、もっともである。イスラム主義者たちがやってくれば、ほかの国へ逃れるかニカブを着用しなくてはならないのだから。
歴史の教師ガディル・ウアッスフさんは、こう語る。「私たちには、アサド氏に対する不満がたくさんあります。しかし、それもすべて、イスラム国やアル=ヌスラ戦線がもたらす危険の前では霞んでしまいます。シリアの野党は、危機の間にとうとうアサド氏に代わる何らかのものを提案できず、私たちは、彼らによって“解放されて”彼らが何らかの正常な生活を軌道に乗せた平和な地区を目にしていません。それゆえ、シリアの大統領自身が、全世界からここへやってきた外国のテロリストらに対する抵抗のシンボルと化したのです」
しかし、ラタキアで活動するロシアのジャーナリストや軍人らは、スンニ派やパレスチナ人の街区へ立ち入らないようにと前もって釘を刺されている。そこでは、バッシャール・アサド氏やロシア空軍の行動に対する支持が、アラウィー派の間におけるよりもぐんと低いのだから。
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2011年8月、ラタキアのパレスチナ人地区は、反政府武装蜂起の場となった。現在、ラタキア市内は、当時と比べてずっと平穏であり、4年前の出来事を想い出させるものといえば、パレスチナ人地区を囲む強化された検問所と付近の建物の弾痕くらいしかない。
濃いコーヒーでも召し上がれと気さくに自分の店へ招いてくれる地元の住人は、こう語る。「私たちは、貧困を運命づけられており、私たちのほとんどは、良い仕事や高い賃金を期待できません。抗議が始まったのも、まさにそのためなのです。もちろん、集会を始めた人は誰一人、戦争など望んでおらず、外国の過激主義者らが、混乱に乗じたのです」
シリアの社会は、戦争以前は、裕福ではないものの平和で幸福であったが、今は、明らかに分断されている。2011年までは、興味本位で人に宗派を訊ねるのは礼儀にもとるものとみなされ、それはプライベートな問題であると考えられていた。今は、あれこれの宗派の人たちは、不快な目に遭うのを怖れて「よその」地区へ立ち入らないようにしている。
そして、少数派のアラウィー派の間では、バッシャール・アサド氏に対する支持が非常に高いものの、ほかの宗派や民族の間では、すべてはそう一様ではない。全世界からシリアへ集まってきた外国の戦闘員らの数の多さを想い起こすならば、今のシリアがまさにパッチワークの掛け布団の様相を呈していることが明らかになる。
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したがって、ロシア人に対する態度も、まちまちである。「あちら側から」すなわちシリア政府の支配下にない地域からは、民間の施設を爆撃したとのロシアおよびシリアの空軍に対する非難の声が絶えず聞こえてくる。バッシャール・アサド氏に忠実な人たちは、そうした報道を「でっちあげ」とみなし、野党の支持者らは、それを「体制の犯罪」の新たな証拠とみなしている。
ラタキアでは、ロシア人たちは、守り手とみなされている。タクシー運転手、小売店主、ウェイター、みんな、ブロークンな英語でお決まりのフレーズを口にする。「アイ・ラヴ・アブ・アリ・プーチン(父なるアリ・プーチン、彼らはロシアの大統領にそんな呼び名をつけた―編集部注)。サンキュー、ロシア!ウェルカム・トゥー・シリア!」
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