プーチン大統領とサルマン国防相の会談の内容は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相によって明らかになった。両国はテロと戦うため、軍と特殊機関の相互活動を活発化させることで合意したという。
また、両国には共通の目的があるという。「それはまず、シリアでテロリストのカリフが勝つことを許さないこと」とラブロフ外相。2つ目のサウジアラビアとの共通の目的は、シリアの国民的和解。「我々をこのようなプロセスの出発点に近づけ得る実際的な道筋について話し合った」とラブロフ外相。
サウジアラビアのアデル・アル・ジュベイル外相はその後、会談の成果についてコメントしながら、シリアの移行政府の設立およびバシャール・アサド大統領の退陣がこのような政治対話の目的であることを、改めて強調した。会談自体については、「オープン」だったと述べた。
「実際的な道筋」の具体的な話は、ロシア側からも、サウジアラビア側からもでなかった。軍事専門家で独立系戦略情勢センターの所長であるイワン・コノヴァロフ氏はこう話す。「中東におけるロシアのあらゆる行動を常に厳しく批判してきたサウジアラビアが、例えば、何らかの偵察情報を共有したりすることはないだろう」。
「ロシア率いる連合(イラン、イラク、シリア)の明らかな成功」が、サウジアラビアをロシアとの対話に向かわせたようだと、コノヴァロフ氏は説明する。シリアにロシアが登場したことでシリアの勢力バランスが大きく変わり、「アメリカもサウジアラビアも、何も起こっていないかのようなふりをこれ以上続けることができなくなった」という。サウジアラビアは自分たちが支援している集団、いわゆる「穏健的な」反体制派に、影響を与えることができ、反「イスラム国(IS)」でこの集団とアサド政権と団結させることができる。
「実際にこのように動いたら、ISとの戦いを早めることに寄与するのではないか。かといって、紛争の勝敗に大きな影響を与えるのに、サウジアラビアの善意だけでは足りない。この紛争にはあまりにも多くの外部の参加者がいる」とコノヴァロフ氏。
アラブ学者でロシア国立人文大学歴史学・政治学・法学部現代東洋学講座のグリゴリー・コサチ教授は、ロシアとサウジアラビアの間の相違はまだ残っていると指摘する。サウジアラビアは2012年の合意「ジュネーヴ1」の条項(アサド政権退陣、移行政府樹立、新シリア憲法)の完全な履行にこだわっており、今回もそれに言及していた。「だがこの会談では、ロシアがシリアの空爆とジュネーヴ1を密接に関連付けているという“結論”は出されなかったし、それは重要。言い換えると、ロシアはこれらの条項にからむ義務を負わないということ」。
アラブ学者で経済高等学院政治学部の上級講師であるレオニド・イサエフ氏は、現状では全員の譲歩が必要であり、有利なやり取りも可能だと考える。サウジアラビアは、この場合にはロシアと協調する方が賢明だと理解した。ISの下部組織を整理して、それによって自分たちが支援しているシリアの反体制派の一部の安全を確保することもできる。ロシアにとってもこのような整理はテロとの戦いに役立つという。「現在『穏健的な』反体制派は、ISとシリア政府軍の一種の緩衝になっている。反体制派を徹底攻撃したら、ISをシリア政府軍に肉薄させてしまうだけ」。
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