国連の拒否権に関する7つの事実

AP通信撮影
 なぜ国連安保理における拒否権なるものが生まれたか、米露をはじめ常任理事国はどのくらいの頻度で、どんな場合にそれを行使してきたのか、ロシアNOWがまとめた。

 1. 安保理常任理事国の拒否権は、ソ連の指導者ヨシフ・スターリンが、1945年2月のヤルタ会談の際に主張した。

 2. 拒否権を有しているのは、国連のサイトによれば、同機関の創設において「枢要な役割」を演じた国々、すなわち、英国、中国、ロシア、米国、フランスの、国連安保理常任理事国五ヶ国である。

 3. 拒否権は、手続き上の問題に関するものを除いたあらゆる内容の国連安保理決議の採択の阻止を可能とする。

 4. 最近、フランスは、国連安保理における拒否権行使のメカニズムの改変を発意した。大規模犯罪を阻止する必要がある場合には、国連安保理常任理事国五ヶ国は、拒否権を行使すべきではないとして、その場合の不行使で合意すべきだと同国は提案している。ジャン=モリス・リペル駐露フランス大使は、コメルサント紙へのインタビューで、自国の発意をこう説明した。「これは、常任理事国の集団的かつ自発的な義務となり、国連憲章の修正を必要としない。そして、もっぱら、大量虐殺、人間性に対する犯罪、大規模な戦争犯罪といった、人間の生命を脅かす深刻かつ大規模な企てが見られる場合に、適用されることになる」

 ウクライナを含む一部の国は、フランスの発意を支持した。

もっと読む:

ロシアが拒否権発動

 5. ロシアは、国連安保理常任理事国の拒否権の制限に反対しており、コメルサント紙は、これについてのロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使の発言を伝えている。

 「拒否権があるおかげで、連日我々は、国連安保理内で作成される文書をめぐり妥協点を模索せざるを得なくなっている。…どこかの国が決議を阻止するかもというプレッシャーがあるから、我々は何でもかんでも投票にかけるのではなく、五カ国すべての常任理事国が採択する確信がもてる、詳細に検討した文書のみを投票にかけるようになる」。その際、大使は、「どの国連安保理常任理事国も、拒否権廃止に関する修正を決して批准しないだろう」と述べている。

 6.2015年、ロシアは、すでに二度、拒否権を行使した。

 2015年7月8日、ロシアは、1995年のスレブレニツァにおける惨事に関する決議案に対して拒否権を発動した。その文書は、この飛び地における約8千人のボスニアのイスラム教徒の殺害を大量殺戮と特徴づけていた。

 2015年7月29日、ロシアは、2014年7月のウクライナにおけるマレーシアのボーイング機の墜落事故の犯人らの刑事上の罪を追及するための国際法廷の設置に関する提案を退けた。

 7. 米国は、79回、拒否権を行使した。

 42の事例で、米国は、イスラエルに対して批判的な決議を阻止すべく、この権利を行使した。1990年代初めから、米国は、14の決議に拒否権を発動したが、それらは、ほとんどすべて中東情勢に関するものであった。

 国連での拒否権の行使

 合わせて237回、中東およびアフリカ南部の状況を審議する際に行使される場合が最も多い。

 41回は、国連への新加盟国の受け入れを阻むため。

 43回は、新事務総長の任命を阻むため。

 国別では

 ソ連 90回 / ロシア 13回。合計 103回。

 米国 79回

 英国 29回

 フランス 16回

 中国 9回

 1991年以降

 ロシア 13回

 米国 14回

 中国 8回 (そのうち6回はロシアと共に)

このウェブサイトはクッキーを使用している。詳細は こちらを クリックしてください。

クッキーを受け入れる