アレクセイ・ニコリスキー/ロシア通信撮影
プーチン大統領は24日、オスマン帝国によるアルメニア人虐殺100年の関連式典が行われる、アルメニアの首都エレバンに向けて出発する。大量虐殺の問題は、アルメニアとトルコの関係が複雑な理由の一つだ。
ロシア国立人文大学外国地域研究・外交政策講座のセルゲイ・マルケドノフ准教授はこう話す。「悲劇から100年を迎えるため、この訪問は象徴的性質を持つだろう。この悲劇は世界中のアルメニア人の間で、オスマン帝国におけるアルメニア民族の大虐殺と考えられている。このような状況で、ロシアの首脳の訪問とは、アルメニアにとって非常に重要なできごとの記憶を支持し、連帯する行動となる」。アルメニアはロシアの一貫した同盟国であり、ユーラシア経済共同体と集団安全保障条約の加盟国である、とマルケドノフ准教授は説明する。
トルコとの関係に影響は
オスマン帝国におけるアルメニア人虐殺の歴史は、トルコにとって非常にデリケートな問題だ。そのため、一部専門家は、プーチン大統領のエレバン訪問がロシアとトルコの関係に影響するのではないかと懸念している。欧米による対ロシア経済制裁を背景に、ロシアにとってトルコはエネルギー分野などでの極めて重要なパートナーとなっている。
ロシア科学アカデミー世界経済・国際関係研究所の主任研究員ヴィクトル・ナデインラエフスキー氏は、トルコを含む多くの国がアルメニア人大虐殺を認めておらず、事実をあらゆる形で否定していると説明する。「事件について、トルコはアルメニア人自身の非を責めようとしたり、クルド人や他の関係者を非難しながら犯罪への関与を否定したりしている」とナデインラエフスキー氏。
起こり得る悪影響を回避するため、クレムリンはセルゲイ・ナルイシキン下院(国家会議)議長をトルコに送り、24日に行われるガリポリの戦い100年の記念式典に参加させる。ガリポリの戦いは、第一次世界大戦中の一コマで、連合国がオスマン帝国軍に予想外の敗退を喫し、多大の損害を出した。イギリスではこの戦いをダーダネルス戦役と呼んでいる。
「チャナッカレには地位のあるナルイシキン議長が参加する。このようにしてロシアは、アルメニアとのパートナーシップ、トルコとのパートナーシップを分離し別扱いしようとしている。ユーラシアの軍事・政治的協力や、ユーラシアがアメリカに振り回されないような経済的協力を推し進める」とマルケドノフ准教授。
トルコのマスメディアは、ロシアの首脳がアルメニア人虐殺100年の追悼式典に出席することを不満としているものの、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領を含めた高官は今のところ、沈黙している。「エレバンでもナルイシキン議長がチャナッカレを訪問することに憤りの声がある。残念ながら、大量虐殺を認めることは、政治的なツールになっている」とマルケドノフ准教授は説明した。
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