ロイター通信撮影
ホドルコフスキー氏は20日、「開かれたロシア」基金の再始動について発表した。慈善事業、教育・啓蒙プロジェクトを主な活動内容とする「開かれたロシア」基金は、2001年にユコスの株主および民間人のグループによって創設され、2005年の時点で国内の約50拠点が運営されていた。ホドルコフスキー氏は昨年12月20日に釈放された後、人権保護活動に集中する予定だと話していた。
その手始めが基金の再始動である。フランスの「ル・モンド」紙の取材に対し、こう答えている。「『ヨーロッパの価値観』と呼ばれるものを共有している。この価値観を違法とする政治には同意できない」。ホドルコフスキー氏によると、対抗を効果的にするためには、政府と闘う「縦」の政党ではなく、多くの社会的集団が団結し、ともに活動できる、「横」の同盟が必要なのだという。
専門家の意見
政治情報センターのアレクセイ・ムヒン所長は、「開かれたロシア」基金の活動の成否が資金によって変わるとロシアNOWに説明する。「ホドルコフスキー氏は市民社会の構築に自己資金を使おうとしているようだ。しかしながら、ロシアの現実を考えると、この資金は長期的活動には足りないため、海外に移住したオリガルヒ(新興財閥)や他の国の資金に頼らなくてはいけなくなるだろう」
ホドルコフスキー氏は、「開かれたロシア」基金が独立した政治勢力として選挙に参加することはないが、「ふさわしい」候補を支援すると話している。「主な対抗目標は、2016年の下院(国家会議)選を中心とした、あらゆるレベルの選挙」
モスクワ国立国際関係大学の教授で、歴史学博士のヴァレリー・ソロヴェイ氏は、政府への対抗などにより、資金以外の困難に基金が直面すると考える。「行政・政治圧力がかかる。これが新『開かれたロシア』の主な問題になるだろう」。次の問題は基金とホドルコフスキー氏のイメージアップだという。「国民にも改革派にもイメージが良いとは言えない」。ロシアの世論調査機関「レバダ・センター」が昨年実施した調査では、ホドルコフスキー氏が大統領選に参戦した場合に支持すると答えた回答者はわずか2%だった。
政治的野望
ホドルコフスキー氏の計画は変わったようだ。「ル・モンド」紙には、釈放後にユコス資産の返還に携わらないことを約束したが、他には何も約束していないと話し、ロシアが「正常に発展」していけば大統領の座を目指すことはないが、司法、議会、市民社会の権限再配分を目的とした憲法改革の実施の際には、「一部作業を引き受ける用意がある」と説明した。一連のコメントは、ロシア連邦大統領を目指す意向を示しているのではないかとの指摘に対し、ホドルコフスキー氏は正常な状況では大統領選に参加できないし、する気もないと説明した。「政府が国を危機に導き、それは数年後になるかもしれないが、国民が政府機構をより現代的なものにしたいと望んだら、この段階で作業を遂行する用意がある」
ロシア政府は今のところ、これについて特にコメントしていない。ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、「コメントする理由がない」と話した。ソロヴェイ氏はこう話す。「ホドルコフスキー氏は現在、状況を把握しようとしていると言った方がいいかもしれない。改革派内部のムードを理解することが大切であるため。ところで改革派の一部は、ホドルコフスキー氏の意向にあまり喜んでいない」。ウラジーミル・プーチン大統領に代わる者を支持し得るロシアのエリートがどれだけいるかということも、把握しようとしているのだという。「したがって今のところ、闘争の偵察というよりも、遠方での偵察にすぎない」
「ホドルコフスキー氏は、2000年代と同じ”まぐわ”を取ろうとしている。政治活動はしないと何度も言っていたが、状況に屈した。大統領に立候補はできないが」とムヒン所長は説明する。
近い将来、大統領選の候補に名乗り出ることは確かにできない。今年2月、選挙権の主な保証に関する法案が改正され、重罪で有罪判決を受けた者は、有罪判決が解消されてから10年経過しないと選挙に参戦できないことになった。ホドルコフスキー氏が候補になれるのは8年後である。
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