ロシアの調査会社「シノベイト・コムコン」のデータによると、2015年上半期のロシア人1人あたりのインターネットでの平均購入額は、昨年の同じ時期と比べて23%増加した。2015年の最初の3ヶ月では、ゲーム、映画、ソフト、書籍などのさまざまな種類のコンテンツに、1人平均691ルーブル(約1460円)使っている。
「この増加は、経済的要因の観点から、十分に説明可能である。ロシア人の購買力は7%低下し、中央銀行の予定インフレは約14%になっている。この時、賃金は増加していない。この3要因を合わせると21%超の指標になる」と、ロシア国立研究大学「高等経済学院」マーケティング・事業開発スクールのタチヤナ・コミッサロワ校長は話す。インターネットのコンテンツは、一般の店の商品よりも安いため、このような形で節約しているのだという。
主な理由
シノベイト・コムコンの調査によると、ロシア人の約46%がゲーム、42%がスマホまたはタブレットのアプリ、30%がソフトに出費している。「コメルサント」紙の「ルネット(ロシア語界のインターネット)大手販売者上位100位」では、第1位が「ロシア鉄道」、第2位が航空会社「アエロフロート」である。このように、ランキング作成者によると、ロシア人がネットでもっとも購入するのはチケットで、次に家電ショップや大手オンラインストアが続く。
「購買増にルーブル安が影響していることは間違いない。以前なら、例えば、1ドル30ルーブルのレートの際に169ルーブルで音楽を購入していたが、現在は1ドル60ルーブルのレートでも同じ価格で音楽を購入している。これによってコンテンツが安くなったという幻想が生まれる」と、ロシアの大手ブログ・サイト「ライブインターネット・ル」のゲルマン・クリメンコ社長はロシアNOWに話す。購買増は心理的要因によるものの可能性が高いという。2014年半ばから、ルーブルは対ユーロ、対米ドルで半落している。
ロシアの投資ホールディグ「フィナム」のアナリスト、ティムール・ニグマトゥッリン氏によると、この伸びは主に技術的な要因によるものだという。「有料デジタル・コンテンツ市場の約95%を占めているのがゲーム。主なゲーム・メーカーは外国企業であるため、世界の主要通貨に対するルーブル安が、コンテンツのルーブル価格の自然上昇につながっている」とニグマトゥッリン氏。
成長の見通し
コミッサロワ校長によると、「ロシアのユーザーには今日、コンテンツに出費する用意があり、投資家にとってはかなり有望なニッチ」だという。「インターネットが発達し、辺境の小さな村でも、映画の新作が来るのを待たずして、若者が自ら必要なコンテンツを見つけることができる」と話す。
これが故に、ロシアのネット購買市場が、困難な経済環境のもとでも、2桁成長すると、ニグマトゥッリン氏は説明する。「この業界が興味深い投資先であることは間違いない。スマートフォンの人気が高まるにつれ、ストリーミング・サービスやモバイル・ゲームのような市場の部門が比較的高い成長を示すと思う」
「電子商取引やオンライン決済の市場を今後勢いづけてくれる主なターゲット客は、特別な『成長思考』をそなえ、特殊な能力の組み合わせによって専門的かつ個人的成功を収めている、25~35歳の世代」だとコミッサロワ校長。
すでにロシアで活動している国内外のプレイヤーが投資家になる可能性が高い、とクリメンコ社長は話す。
ロシア市場の規模
ロシアの決済システム「ペイオンライン・ル」によると、電子商取引市場の規模は世界で1兆ドル(約120兆円)、ロシアで2兆ルーブル(約4兆2000億円)。ロシアに初めて決済システム「サイバープラト」と「ウェブマネー」が登場したのは1997年だが、著しい成長が始まったのは2000年代半ばである。2010~2011年の投資の伸びは、ロシア最大の電子メールサービス「メール・ル」グループおよび検索サイト「ヤンデックス」など、ロシアの大手インターネット会社が証券取引所への上場を成功させたことで勢いづいた。
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