サンクトペテルブルクに行くべきではない15の理由

サンクトペテルブルクには誰もが憧れるかもしれないけど…

 サンクトペテルブルクのことはだれもが大好きなのでは? モスクワに行ったら、ロシアのいわゆる北の首都にも足を運ぶだろう。すぐに行けると思うに違いない。だがそうでもない。その距離はわずか687km、鉄道で9時間しかかからない旅だが、やめておいたほうがいい。
 エルミタージュ美術館。ヨーロッパでも有数の美術館だろう? 月並みだ。楽しくない。
 サンクトペテルブルクで最も重要な祝祭は「赤い帆」祭りで、目を見張るような花火、多数のコンサートや水辺のショーが繰り広げられる人気の催しだ。本物の船舶、快速帆船の「スタンダード」号が参加し、赤い帆がネヴァ川を往復する。100万人の来訪者だって? そんなことはない。
 楽しく食事をしたり酒を飲んだり、ロマンチックな日暮れをや屋上からの眺めを満喫したり・・・ でも落ちないように。
 夜になると橋が跳ね上げられ、文明や宿泊先のホテルから切り離されてしまう。
 かつての栄光が復元された帝政時代の邸宅。どこまでも続く宮殿、細道、記念碑や聖堂。他にも何かないのだろうか?
 建物の高さには上限が定められているので、この都市の中心部は古めかしく映る。
 不快な荒廃しきった豪邸。もうロマンスが感じられない。
 白夜。寝る時間だ。
 フョードル・ドストエフスキー、ヨシフ・ブロツキー、アンナ・アフマートヴァ、ニコライ・ゴーゴリ、 セルゲイ・ドヴラートフ、アレクサンドル・ブロークやアレクサンドル・プーシキンがかつてこれらの通りを歩いた。記念碑や記念博物館に改築された住居が多数あるが、これらは一体だれなのだ?
 美術。もううんざりだ。妖精のように空想的な、見栄ばかりの戯言に過ぎない。なんと退屈なことか。
 ロシアで最高のバーだって? 無料のカラオケでもやっているというのか? 特別な地元名物のカクテルとか? 梯子できるほどバーが通りにいっぱいあるとか? 実際には、うるさくて、夜明け頃には何百人ものロシア人の友だちができるが、ひどい頭痛に見舞われるのが現実というものだ。
 サンクトペテルブルクを一口で発音するのは簡単ではないかもしれないが、少なくともソ連時代の呼称であるレニングラードと混同することはない。ところが、この辺りの地域の名前は何かというと、そう、「レニングラード州」なのだ。不可解な論理だ。
 水、河川と運河。40以上の島に広がるサンクトペテルブルクが「北のヴェネチア」と呼ばれるのもうなずける。ガールフレンドはこの都市を巡るロマンチックなボートの旅を気に入るに違いない。なんたる悪夢だ。
 何世代ものロシア皇族がここに住み、統治し、亡くなっていった。だが自分は共和主義者だ。

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