ロシア人画家による高値の絵画トップ10

カジミール・マレーヴィチ、「シュプレマティスト・コンポジション」、1916年。約64億8000万円。1927年にマレーヴィチはおよそ100点もの作品をレニングラードからベルリンに移した。しかし、その直後にマレーヴィチはソ連に呼び戻され、彼は作品を建築家のフーゴー・ヘーリングに預けた。ナチ政権時代、マレーヴィチの作品は退廃芸術として処分されそうになったが、ヘーリングは作品を隠し持ち、守り通した。1958年、マレーヴィッチの没後にヘーリングは作品をアムステルダム市立美術館に売却した。
ワシリー・カンディンスキー、「フーガ」、1914年。約24億7300万円。1990年にこの絵画は約24億7300万円という記録的値段で売れた。現在この絵はスイスのバイエラー財団美術館で一般に公開されている。
マルク・シャガール、「誕生日」、1923年。約17億6000万円。興味深い事に、ニューヨーク近代美術館は、全く同じ題名と題材の1915年に描かれた絵を1949年に買った。何故シャガールが全く同じ絵を2度も描いたのかは謎である。
アレクセイ・フォン・ヤウレンスキー、「赤い帽子をかぶったショッコ」、1910年。約16億4650万円。ショッコは人の正式な名前ではなく、あだ名である。モデルとなった女性は、スタジオに来る度にホットチョコレートを下さいと言うので、「ショッコ」というあだ名がついた。
ニコライ・フェシン、「小さなカウボーイ」、1940年。約12億1350万円。カザン出身のフェシンはレーピンに絵を学び、1923年にアメリカへ移住した。彼の作品の多くはカザン美術館にあるが、ロシアではあまり知られていない。
ナターリヤ・ゴンチャローワ、「スペインの女性」、1916年。約11億2270万円。ナターリヤ・ゴンチャローワは美術界で最も求められるアーティストの一人である。通常、彼女の作品には非常に高い値段がつく。例えば、「花」は9億6230万円で売れ、ロシアの不動産企業家ウラジスコフ・ドローニンは「黒人女性のヌード」を4億5330万円で買い上げ、恋人のナオミ・キャンベルに贈った。
イリヤ・レーピン、「パリのカフェ」、1875年。約7億8920万円。今では考えられないが、当時、この絵の題材はスキャンダラスであるとされた。女性が一人でカフェに行くということは、堕落した女だということを意味したからである。ロシアの批評家達は、この様な軽い題材をとりあげたレーピンを非常に批判し、彼は20年後に絵を描き直した。この「改訂版」は教訓めいており、女性の顔からは羞恥心が伺える。しかし、この絵画を所有するスウェーデン人はレントゲンを撮り、絵を改訂前の元の状態に復元した。
ワシーリー・ポレーノフ「キリストと姦淫の女」、1908年。約7億1060万円。ポレーノフは聖書に基づきこの絵を描いたが、絵は危うく海底に沈むところだった。絵をタイタニック号に乗せてアメリカへ送る計画があったが、直前に予定が変更されたため、船と共に沈没するのを免れた。
コンスタンチン・ソモフ、「虹」、1927年。約6億4600万円。世界金融危機の前年の2007年に、この絵は約6億4600万円という高値で落札され、話題になった。この作品は、「ロシア芸術週間」(訳注:世界有数のオークション・ハウス(競売会社)がロシアの作品だけを扱うイベント)で落札されたものの中で最高額の記録を出した。
イリヤ・カバコフ、「カブトムシ」、1985年。約5億630万円。この絵の下の方には、コレクションの為にカブトムシが欲しい少年についての子供の詩がある。この詩は現在の絵画収集家にもあてはまる。イリヤ・カバコフの作品は、収集家がコレクションに入れたいと夢見る様な立派な「カブトムシ」になったのだ。

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