マリインスキー新館をめぐり論争続く

マリインスキーIIと呼ばれる、サンクトペテルブルクのオペラとバレエの殿堂、マリインスキー劇場の新館は、何回も出だしで躓き、いくつもの論争を巻き起こ し、建設に10年もの歳月がかかった。
マリインスキーIIと呼ばれる、サンクトペテルブルクのオペラとバレエの殿堂、マリインスキー劇場の新館は、何回も出だしで躓き、いくつもの論争を巻き起こ し、建設に10年もの歳月がかかった。ガラスと石灰岩でできた独特な建物は、5月に豪華なガラコンサートでオープ ンし、同市出身のプーチン大統領も出席した。
新館は、サンクトペテルブルクの歴史的中心部に位置し、観客席を囲む琥珀色のオニキスの壁がモダンな構造を強調している。イタリア、イラン、マケド ニア、トルコから輸入された豪華な石は、音楽愛好家にとって一つの目印になるだろう。
2,000席あるコンサートホールは、カナダの建築家、ジャック・ダイアモンド氏の代表作となった。音響を最大限活かし、親密な雰囲気を作るのに重点を置いている。
例えば、劇場には通常、4~5階席まであるが、ここでは3階席までしかない。本館と、2006年に完成したホールと 会わせると、「リンカーン・センターに匹敵する、機能の幅広さと多様さを併せもつサンクトペテルブルクの総合芸術施設」(ニューヨークタイムズ紙)になる。
ロビーは、照り輝く蜂蜜色のオニキスで装飾され、スワロフスキー・ダイヤモンドで作られたシャンデリアが配置されており、ガラス製階段が上方へ伸びている。これは確かに圧巻だ。劇場のスタッフによると、日中の日差しがこの高価な石の照明に干渉しない夜間は、高級感がさらに増す。
ロビーは、ステージを補完するものとして設計され、劇場的な雰囲気と流動感をかもし出す。ロビーには様々な階段があり、そのなかでも特に ドラマチックなのは、ロビーの北側にあり、すべての地上階に渡る33メートルのガラス製階段だ。ロビーは様々な大きさの個々のスペースに分割されて いる。
マリインスキーIIは理想的な音響のために設計されている。 18000立方メートル程あるホールは、理想的な大きさであり、世界で最も有名なオペラハウスに匹敵する。客席の床は吸音木造構造によってコンクリートの 基礎から分離されている。無垢材の手すりは、音の拡散を助けるためにホール全体に配置され、埋め込まれた照明器具と重なるように並べられている。
オーケストラ・ピットにはオーケストラと音響の様々なニーズに応えられるよう、可動式音響壁が装備されている。最大で、オケピットは170平方にまで広がり、120人の楽団員が入れる。オケピットには、後方に小さなもの、前方により大きなもの2つ、合計3つのプラットフォームを搭載している。これらは、楽器編成や必要な音の種類に応じて、上下に調整できる。
新しい劇場は1日3公演を上演することができ、本館よりはるかに少ない時間で、主な演出の入れ替えができる。これは全て、サンクトペテルブルクを国際的な芸術のメッカにし、主要な外国の劇場からの公演を誘致したいゲルギエフ芸術監督の計画の一部だ。
ガラ公演では、マリインスキーの豊かな歴史と現在の団員のなかから、才能溢れる演奏家がずらりと並び、伝説のダンサー、ヴァーツラフ・ニジンスキーの象徴的かつ叙情的な振り付けによる、初演時の「春の祭典」の再現公演も行なわれた。
世界的テノール、プラシド・ドミンゴは、ワーグナーのオペラ「ワルキューレ」のジーグムントのアリア「冬の嵐は過ぎ去り」を歌った。
オペラ界のスター、アンナ・ネトレプコは、近々上演予定のヴェルディのマクベス夫人より、抜粋を歌った。
ガラ公演はゲルギエフ芸術監督の60歳の誕生日パーティーと重なり、彼の支持者が、祝賀をリードした。プーチン大統領は祝辞で指揮者を「限りない創造的エネル ギーを持った、素晴らしい、世界に類例のないマエストロ」と呼び、「我々の時代の傑出した音楽家の一人」であると付け加えた。

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