露中は米国の代役を務め得るか?

 専門家らによれば、米国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の批准を拒否すれば、地域におけるロシアの影響力が増す。とくに、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の結果は、ロシアが中国とともにアジア太平洋地域における統合の独自の構想を始動させうることを示している。
APEC Summit in Peru
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、11月20日=  ミハイル・メツェル/タス通信

 ペルーで行われたAPEC 首脳会議の最終コミュニケでは、APECの枠内での自由貿易圏の創出は、地域における統合の主要なツールである、と述べられている。しかし、その同じ文書によれば、「既存の協定の枠内での発展および自由化の異なるレベルは、単一のゾーンの創出を妨げる」。専門家らは、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想を共同で推進するとの露中の合意をAPECサミットの現実的な成果の一つに挙げている。中国の外務省は、すでにこれに関する然るべき声明を発表している。しかも、ペルーとチリが、この構想に加わる意向を表明した。米国のドナルド・トランプ次期大統領がTPPの批准の拒否を公約に掲げているなかで、地域における露中の役割は、高まりつつある。

 ロシアの新聞「コメルサント」のデータによれば、新たな協定は、早くも2017年に作成されうる。交渉は、非公開で行われており、協定の内容については、今のところ不明である。専門家らによれば、参加国に対する要求基準は、TPPにおけるよりも低くなりうる。企業グループ「フィナム」の金融アナリスト、チムール・ニグマトゥリン氏は、「11月18~20日のペルーでのAPECサミットの主な成果となったのは、とりわけ露中の発意に基づくユーラシアにおける統合プロセスの協議である」と述べる。

 

TPPの将来

 ロシアの会社「オトクルィチエ・ブロケル」(「オトクルィチエ・ホールディング」傘下)のマクロ経済担当の社長顧問セルゲイ・ヘスタノフ氏は、TPPの構想自体は、一種の世界貿易機関(WTO)の小編成版として発案された、と説明し、こう語る。「この貿易ブロックは極めて親米的な国々で構成され、ブロック内には極めて優遇的な関税制度が設けられる、と考えられていた。この構想は、EUおよび中国の懸念を呼び起こした。トランプ氏の出現は、TPP構想の実現を大きな疑問に付した」

 ロシア国民経済国家公務アカデミー・国際商業講座主任のウラジーミル・サラマトフ氏は、もしも他のTPPの参加国がその維持を欲するならば、この統合体におけるリーダー役は空席となるとし、こう述べる。「この協定における知的所有権の保護といった一連の条項は、おそらく中国にとって受け入れられない。それゆえ、中国は、つねに東アジア地域包括的経済連携(RCEP)という独自の統合体を発展させてきた」

 

ロシアの役割

 ロシアとの協力は、アジア太平洋地域における統合の独自の構想を形づくる中国の活動に新たな弾みをつけうる。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ペルーでのAPECサミットの成果をまとめる記者会見で、閉鎖的な貿易圏は世界において一切創出されるべきではなく、それは世界の貿易および経済の発展に資するものではない、と述べた。プーチン大統領によれば、ロシアは、ユーラシア経済連合(EAEU)と中国のシルクロード経済ベルト構想の連携を望んでいる(ロシア通信の報道)。

 2016年6月のサンクトペテルブルグ国際経済フォーラムで、プーチン大統領は、ロシアは、ユーラシア大陸における幅広い貿易経済連携についての協議を開始する用意があり、その第一歩は、中国と旧ソ連圏で最大の統合体であるユーラシア経済連合(EAEU)の間の交渉プロセスである、と述べた。早くも2016年11月初めには、露中両国の首相が、サンクトペテルブルグで会談し、自由貿易圏を形成する作業の開始を発表した。セルゲイ・ヘスタノフ氏は、「APECの枠内での露中の話し合いは、両国が長期的協力プロジェクトの枠内における露中の大手企業のプランをより緊密に調整することを可能にする」と述べる。

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