モスクワ中央環状線オープン間近

 9月10日、ロシアの首都に「モスクワ中央環状線」がオープンする。この「地上を走る地下鉄」は、一日に最大40万人を輸送し、メトロの混雑を15%緩和、市民の平均乗車時間を20分短縮する。
Moscow Circular Railway
「モスクワ都市フォーラム」、モスクワ中央環状線のプレゼンテーション、6月30日2016年  エフゲニー・ビヤトフ撮影/ロシア通信

 環状鉄道の建設計画そのものは新しいものではない。ロシア帝国大蔵大臣セルゲイ・ヴィッテがはじめて構想を語ったのは、かれこれ100年余り前。1903年には皇帝ニコライ2世の命で建設が始まる。

 

環状線百年史

 モスクワ中央環状線の駅舎はモダニズム様式で設計された。屋根用のタイルはワルシャワから買い付けた。時計はスイスの有名メーカー「ポール・ビューレ」から。電気も引き込まれ、オランダ製およびロシア製の暖炉もしつらえられた。

 予期に反して、旅客輸送はすぐには始まらなかった。乗車券が高額だったことが、利用者数を激減させた。価格改定が行なわれた後は、1917年の直前まで、労働者や勤め人を市内各地に輸送した。

 しかし、環状線の通り道にあたる各エリアが路面電車やバスで連絡するようになると、環状線の旅客利用は終了。貨物輸送専用になってしまった。

モスクワ環状線の建設作業員、 1939年 = アナトリー・ガラニン撮影/ロシア通信モスクワ環状線の建設作業員、 1939年 = アナトリー・ガラニン撮影/ロシア通信

 ソビエト時代、「環状線を再び都市交通に役立てよう」との話が何度も持ち上がった。しかし、貨物輸送が旺盛に行われていたことと、設計上の特性により、旅客車両に道を割くことは容易に、かつ速やかにできることではなかった。

 2011年になってやっと、市当局は環状線を首都交通網に接続させる計画を策定・承認したのである。

 

モスクワ市民の生活、どう変わる?

 環状線の車両に選ばれたのは、独シーメンス社がロシア鉄道のために特別に開発した客車「ラースタチカ(燕)」だ。この客車はソチ五輪の際に使用され、モスクワ近郊をも走っている。一日130組が運行。車両には、通常のメトロの車両にはない優れた点がある。幅が広く、客席は少なく、トイレが設置され、空調が行なわれ、スクリーンもあり、ベビーカーや自転車用のスペースもある。電子端末充電用のコンセントもあり、Wi-Fiもある。各5両編成で、1250人を収容する。

客車「ラースタチカ(燕)」=セルゲイ・サヴォスチアノフ撮影/タス通信客車「ラースタチカ(燕)」=セルゲイ・サヴォスチアノフ撮影/タス通信

 駅数は31。いずれの駅もバス等の地上交通機関の停留所と接続する計画で、特に17駅がメトロと連絡する。11の駅につき、屋外に出ることなくメトロに乗り換えができる。10駅が近郊電車の駅に接続する。市当局によれば、乗り換え時間は長くて8分。

 運行間隔はピーク時で5-6分、通常は10-15分。営業時間はメトロと同様で、朝は6時から、夜は深夜1時まで。運賃の支払いはメトロの乗車に使うのと同じ乗車券で。つまり、運賃はメトロと同じということだ。なお、モスクワ地下鉄は全線一律料金で、一回50ルーブル(78円)。

 モスクワ地下鉄には既に環状線が存在するが、モスクワ中央環状線のオープンにより、従来の混雑は15%緩和される見込み。また、モスクワの鉄道駅(ペテルブルグ方面への電車が発着するレニングラード駅をはじめ、ロシア各地へのターミナル駅が市内に9つある)は混雑が40%緩和される見込み。一度鉄道駅まで乗ってからメトロに乗り換えるという郊外住民が多かったが、今後は環状線で間を飛ばせるのだ。これにより一人当たりの乗車時間は平均20分短縮される見込み。

 モスクワ市民数百万人にとって最寄りの駅がモスクワ中央環状線の駅となることにより、年内に一日の利用者数は40万人に達すると見られ、年間利用者数は3億人に達するとされる。


(路線図はクリックで拡大表示されます)

モスクワ地下鉄+モスクワ中央環状線(破線の大円)路線図=報道写真モスクワ地下鉄+モスクワ中央環状線(破線の大円)路線図=報道写真

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