8月初め、ロシアでは、5年ぶりにデフレすなわち消費財の値下がりが記録された。これについては、ロシア連邦国家統計局のデータが物語っている。
たとえば、8月最初の一週間で、物価は、0,1%下がった。ロシアで最後にデフレが記録されたのは、2011年9月のこと。ちなみに、2015年には、国内のインフレ率は、12,9%だった。企業グループ「フィナム」の財政アナリスト、チムール・ニグマトゥリン氏は、「インフレ圧力の低下は、ロシア経済にとって吉報である。これは、中央銀行が設定した2017年のインフレ率4%という水準のより速やかな達成をもたらす」と語る。ロシア政府は、自国通貨を自由化してユーロや米ドルに対するその相場を半分に下落させた2014年末に、まさにこの目標を掲げた。
価格の低下には、もっと根の深い原因もある。企業グループ「テレ・トレード」のアナリスト、ミハイル・ポドドゥブスキイ氏は、低下しつつある消費需要が、大きな役割を演じている、と語る。同氏によれば、GDPの低下のため、国民は、実質所得の減少により従来の実質的な支出額を維持するのがますます難しくなっている。
しかし、あらゆる制限にもかかわらず、デフレは、依然としてロシア市場にとっての朗報となっている。投資会社「ルッス・インヴェスト」のドミトリー・ベデンコフ分析課長は、「デフレは、自国通貨の信頼を高め、経済活動に好い影響を及ぼす」と説明する。同氏によれば、インフレ率の低下は、何よりもまず、安定した所得水準のもとでの消費者の購買力を高める。
ドミトリー・ベデンコフ氏は、8月初めに記録されたデフレは、ロシアが2017年に自国の歴史上初めて4%のインフレ率を達成しうることを証明している、と語る。同氏は、そうした効果は、かなりの程度、厳格な金融政策のおかげで、達成することができた、とし、「金融市場における利率は、10%を上回っており、これは、経済主体のクレジットへのアクセスを制限し、成長再開にとっての抑制的要因となってる」と述べる。チムール・ニグマトゥリン氏は、これは、実質所得の増加および住宅ローンを含むクレジットの利率の低下をもたらすだけに、いずれにしても国民にとって好いニュースである、と付言する。
しかし、元中央銀行副総裁でロシア国民経済国家公務アカデミー・証券市場金融工学講座・主任のコンスタンチン・コリシチェンコ氏は、インフレ率4%のためには、原油の値上がりかロシアからの西側の制裁解除が必要である、という点を指摘している。ミハイル・ポドドゥブスキイ氏は、「2017年末までにインフレ率を5,5~6%にまで下げることは、かなり現実的である」と語る。同氏によれば、ロシア経済の大きな輸入依存を考慮すれば、ルーブル相場も大きな影響を及ぼし、ロシアの通貨が安くなればなるほど、目標のインフレ率の達成がますます困難になる。
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