BRICSが新開発銀行の見通しを協議

写真提供:BRICS 2015

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ウファ(ロシア中部)で、ロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカで構成される新興5ヶ国(BRICS)の首脳会議を目前に、ビジネス協議会が開かれた。会議では、おもに新開発銀行(NDB、BRICS銀行)の見通しについて話し合われた。

 7月8日、ウファで、BRICSビジネス協議会が開かれた。会議では、ブラジルが議長国を務めた1年間の成果がまとめられた。会議参加者らによって承認された報告書は、7月9日のサミットの際に五ヶ国の首脳に手渡される。報告書には、BRICSのすべての加盟国が取り組むべき主要な問題が提示されている。


将来の展望 

 ビジネス協議会の会議では、予想に違わず、新開発銀行の見通しや同行の加盟国が自国通貨で活動する可能性が枢要なテーマとなった。

 ビジネス協議会の会議後に発言したロシアのアントン・シルアノフ財務相が指摘したところでは、新開発銀行は、インフラ・プロジェクトへの融資を目的に設立された。同行の確定資本は、1000億ドル。払込資本は、100億ドル。然るべき資金が、ロシア連邦予算において見込まれている。資本の修正は、5年以内に行われる。

 BRICSの各加盟国は、年末までに自国のプロジェクトを提案し、新開発銀行が、その中から最も効率的なものを選択する。最初の融資は、来年初めに行われる。プロジェクトの数は多く、すでに詳細に検討されたものもある。1年前のブラジルでのサミットの際、ロシアは、ロシア連邦商工会議所と経済発展省が共同で立案した37の提案を行った。BRICSのすべての加盟国が関心を抱いているプレハブ式港湾施設に関するロステフノロギイ社のプロジェクトがあり、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、チリを通るトランスオーシャン道路の建設に関するブラジルの提案がある。

 選択されるプロジェクトには、モスクワ・北京間の鉄道の一部として考案されたモスクワ・カザン間の高速鉄道幹線の建設も含まれうる。

 

競争的環境 

 ビジネス協議会の会議の席上、アントン・シルアノフ氏は、新開発銀行が競争的環境の中で活動することになる点を指摘した。というのは、同行が同程度の資本を有するアジア・インフラ投資銀行(AIIB)に続く形で設立されたからであり、現在、それらの活動の調整に関する問題が協議されている。とくに、たとえばロシアと中国が経済シルクロードの発展に関心を抱いているように、複数の国が関心を抱くコンセッション方式の大型プロジェクトを両金融機構が共同で実現することも考えられる。

 新開発銀行の経営課題として、できるだけシンプルな決定採択手続きの整備が挙げられる。そうした手続きは、時間のかかる官僚主義的なものであってはならない、つまり、ほかの金融機関のメカニズムよりも優れたものでなくてはならない。

 

作業グループ 

 ロシア連邦商工会議所の会頭でBRICSビジネス協議会のロシア側の議長であるセルゲイ・カトィリン氏は、ロシアNOWの取材に応じ、「ビジネス協議会のメンバーらは、経済界が、プロジェクトの検討や融資の在り方に影響を及ぼせるよう、新開発銀行(NDB、BRICS銀行)の主導的機関に代表部を置くか、せめてそれらの機関とコンタクトを取れるようにすることが、必要であると考えている」と述べた。

 BRICSビジネス協議会の会議では、そのほか、すべての加盟国におけるビジネス環境の改善、査証制度、企業家や商品やサービスや金融の移動の簡素化、規格や技術的規則その他の認可手続きの統一などに関する問題も話し合われた。

 セルゲイ・カトィリン氏によれば、従来の5つの作業グループに加えて、農業および行政障壁の撤廃に関するさらに2つの作業グループが追加された。後者は、「グループ横断的な」作業グループであり、ビジネスを妨げる障壁はあらゆる活動分野で数多く見られるため、ほかのすべての作業グループからの提案の受け皿となる。

 すべての加盟国が無条件に関心を抱くもう一つのテーマは、中小ビジネスの発展である。BRICSビジネス協議会のメンバーには、ビジネス共同体のこのセグメントの代表はそう多くないが、国内ばかりでなく加盟国間のビジネス交流も発展させたいとの強い思いは、各加盟国に共通している。

 セルゲイ・カトィリン氏は、こう述べる。「小規模ビジネスは、周知のとおり、自治体レベルでなければ地域レベルのものであるが、この分野の多くの企業家は、輸出業務に携わり共同生産を軌道に乗せる可能性を有している」

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