中国主導AIIBで主要な役割を狙うロシア

ロイター通信撮影

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ロシアは、中国が主導するアジアインフラ投資銀行における3番目に大きな出資国だ。この銀行の設立協定書には、北京での式典で50か国が署名した。

 ロシアの駐中国大使のアンドレイ・デニソフ氏は、ロシアはアジアインフラ投資銀行(AIIB)において重要な役割を果たすであろうとの見解を、この中国主導の銀行の公式な発足式の前に、ロシア通信に対して明かした。ロシアには「妥当な比率の投票権と同銀行の運営における適切な責任が割り当てられるだろう」と、デニソフ大使は同通信社に対して述べた。大使はまた、適任のロシア人の職員が同銀行での重要な役職に就く準備もできていると付け加えた。

 モスクワは、AIIBの役割が、新興5カ国BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)によって設立され、同じく中国に本社が設置される新開発銀行の役割と重複するという見方を否定した。

 

ロシアの出資比率は6.66 

 出資比率が6.66%のロシアはAIIBの第3位の株主となる。  世界銀行やアジア開発銀行に匹敵すると予想されているこの銀行に対する中国の出資比率は30.34%で、インドは8.52%である。

 中国、インドとロシアの議決権の比率は、新華社通信の計算によると、それぞれ26.06%、7.5%、および5.92%となっている。

 6月29日月曜日、北京の人民大会堂での式典で、創設メンバーである50か国の代表者がAIIBの設立協定書に署名した。年内にはさらに7か国がこの協定書に署名すると予想されている。

 同銀行の株式資本は1,000億ドルになる予定で、当初は200億ドルが支払われる。中国が筆頭出資国ではあるが、同行の意思決定プロセスにおける拒否権は持たない。アジア以外ではドイツが最大の出資国でその比率は4.5%、その次がフランスで3.4%、続いて3.2%のブラジルとなっている。

 同行に参加していない主要経済国は米国と日本だけだ。様々なメディアの報道によると、米国は、国際的なガバナンスおよび透明性基準を同行が満たせるかどうかに懸念があることを理由に、同行に参加しないよう同盟国を説得を試みたが、これに失敗した。英国、フランスとオーストラリアは、同銀行の57の創設メンバー国に名を連ねている。

 

ロシアの参加について楽観的なアナリスト

 専門家は、ロシアがAIIBのメンバーになることで得られる利点が多数あると大方同意している。

 「ロシアの中国との経済的関係と投資関係はより緊密になってきているため、AIIBはすばらしい機会をロシアに提供しています」と解説するのは、ドイツ銀行ロシア支店の主任エコノミストのヤロスラフ・リッソヴォリク氏だ。「また、シルクロードプロジェクトや、中国をロシア経由でヨーロッパと繋ぐユーラシア統合プロジェクトを含め、ロシアが積極的にインフラに関する中国の野望を支援している事実も考慮に入れることが重要です」と同氏は付け加えた。

 リッソヴォリク氏は、ヨーロッパとアジアの間でインフラの仲介役としての役割を強化するプロジェクトにロシアは興味を感じていると述べる。「アジアの国々とロシアが直接的に関わることのないプロジェクトもあるかもしれません」と同氏は付け加える。「そのプロジェクトがロシアにとって経済的に魅力的で、何らかの配当金が支払われるのであれば、ロシアはそれに参加します」

 ロシア大統領府直属国立経済行政アカデミー(RANEPA)のセルゲイ・ヘスタノフ准教授は、AIIBの政策を決定するのは中国であり、おそらく同行が支援するプロジェクトからの利益のうち80%を受け取ることになると指摘する。 

 「ロシアは長期的なインフラ関連プロジェクトに関心があります」とヘスタノフ准教授という。「これには高速道路やパイプラインの建設が含まれます」

 ロシアは、AIIBに参加することによりロシア企業がアジアでの大がかりなインフラプロジェクトに参加できるだけでなく、ロシア経済に対する海外投資においてもきわめて多数の機会を創出することになると、著名な中国人エコノミストの李稻葵氏はスプートニク国際放送に対して語った

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