写真:フジクラ提供
チェボクサルィは共和国の首都で。機械産業などを主力とする工業都市だが、日本企業はまだ珍しいという。フジクラは現地で使われなくなった工場を賃借する形で進出した。使用面積は約2500平方メートル。まだ試験稼働の段階で従業員も数十人規模だが、さっそく従業員向けのバス路線が新設されるなど、地元は歓迎姿勢だ。今後ラインが稼働し、現在想定している製品がフル生産になれば、約150人の雇用が生まれる計算だ。
フジクラは日本の自動車産業を支える有力部品メーカーだが、グローバル事業では海外メーカーも大きな納品先となる。欧州での取引相手は、地元欧州の自動車メーカーが主だ。今回のロシア進出は、すでにロシアで事業展開する欧州メーカーから数年来の要請があってのことだったという。社内基準をクリアする物件がなかなか見つからず時間がかかっていたが、条件と、地元の熱意とが合致したのがチェボクサルィだった。
立ち上げた現地法人「フジクラ・オートモーティブ・ロシア・チェボクサルィ」は、スペインに本拠を置くフジクラのヨーロッパ法人が管轄する。一般論としては、外国企業がロシアに進出する場合は地元企業との合弁設立を勧める向きもあるが、フジクラは意思決定のスピードやノウハウ管理などの観点から、自社グループ100%の資本構成にしている。同グループはすでに東欧に生産拠点を持つこともあってロシア語を話す人材には事欠かず、チェボクサルィの地元行政・経済界とのコミュニケーションは円滑だという。
新工場の本稼働は早ければ今年の末ごろとなる見込みだ。フジクラの自動車部品部門で対ロシアの売上げは極めて少なかったというが、ロシア経済の回復と現地工場の歩みが一致すれば、同社のグローバル事業の中でロシアは早々に地位を確立するに違いない。
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