アレクスンドル・セミョノフ/タス通信撮影
ガスプロムの幹部によると、同社は供給増や、中国、日本、インドにその主な焦点を移す策を模索している。
アレクサンドル・メドヴェージェフ副社長は16日の記者会見で、アジア太平洋地域市場への供給重視を示唆するいくつかの重要な発言を行った。
ガスプロムの資源基盤は年間約1000億立方メートルと推定される中国のガス需要を満たすに十分であると、メドヴェージェフ副社長は説明しながら、「これは保守的な予測」と述べた。
「中国石油天然气集団公司(CNPC)」とガスプロムは5月、全長2700キロの「アルタイ」ガスパイプライン経由の西ルートでロシアから中国に天然ガスを輸出するための主な条件を定めた契約を締結。年間300億立方メートルのガスの輸出が計画されている。両社はガス価格に関する書類をとり決めようとしている。両社は1年前、中国に東ルート経由(「シベリアの力」分岐パイプライン)で年間380億立方メートルのガスを30年輸出する契約を結んでいる。
メドヴェージェフ副社長は、アジア第3位の経済大国にも同社が大きな関心を持っていることを明らかにした。「インドは非常に有望だと考えている」。ガスプロムはインドへのLNG輸出量についてすでに契約を結んでおり、この方向性に大きな潜在性を見いだしている。
ロシアのアレクサンドル・ノヴァク・エネルギー相は今月初め、インドにガスを供給するためのパイプラインの建設案を実行に移す可能性があることを語った。
メドヴェージェフ副社長によると、ガスプロムは日本をLNGのターゲット市場の一つと考えている。
アジア太平洋地域へのLNG納入を地理的に簡易化できる2ヶ所のプラント(「ウラジオストクLNG」と「サハリン2」プラント第3フェーズ)をすでに極東に建設しており、日本へのLNG輸出増の見込みを踏まえている。
「サハリン2」プロジェクトでは、すでに三井物産(12.5%)と三菱商事(10%)が株式を保有している。
明るい対アジア計画がある一方で、ガスプロムは困難な時期を経験している。同社の2015年第1四半期の純利益は11%減となり、同じ時期のヨーロッパ向け輸出はほぼ20%減で6年ぶりの低水準まで落ち込んだ。
アジア太平洋地域の大きな将来性
専門家は、アジア太平洋地域が次の10年も、液化天然ガス(LNG)の主要な市場になると考えている。
国際的な監査大手「アーンスト・アンド・ヤング」の予測によると、世界のLNG需要は2030年までに現在の2倍の年間5億トンに達し、うちアジア地域が3分の2を占めることになる。
現在の主なアジア太平洋地域の需要国は経済の発展している日本と韓国など。中国、インド、パキスタン、ベトナムの需要は今後伸びていくと考えられている。インドネシアやマレーシアなどの現在のLNG生産国は近い将来、ガス輸入国にまわると、アーンスト・アンド・ヤングの報告に記されている
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