クリミアに要した費用はいくら

ミハイル・ヴォスクレセンスキ/ロシア通信撮影

ミハイル・ヴォスクレセンスキ/ロシア通信撮影

クリミアのロシアへの編入に要した支出は約1400億ルーブル(現行レートで約2725億円)。ここには予算以外に、地方からの支援や、クリミアから連邦予算に転送されるべき税収を残したものも含まれる。

 昨年3月まで、クリミア半島発展プログラムに、ウクライナは毎年1億2000万ドル(約145億6000万円)ほど費やしていた(2010~2011年)。「これは我々にとってかなりの額だった」と、ウクライナでビクトル・ヤヌコビッチ政権時代に首相を務めたニコライ・アザロフ氏は話す。

 クリミア開発がロシアにとってはるかに高額になるということは、昨年3月の編入直後から明らかであったが、正確な金額を言える人はいなかった。一部の関係者やアナリストは、1000億~1300億ルーブル(約12兆~15兆7000億円)と試算した。

 

クリミアの費用

 財務省のデータによると、連邦予算でまかなわれた費用は合計1247億ルーブル(約2436億円)。うち908億ルーブル(約1767億円)が公務員の給与、社会保障、公共機関の維持、地域の年金基金の赤字補填に費やされた。また、339億ルーブル(約660億円)が電気、ガス、水、熱等の供給、建設、輸送、教育、公益事業、就職支援などに集中的に配分されている。

 プラス「非公開部分」があり、海軍基地の活動や国防省の課題に向けた活動に割り当てられたが、この額は「公開部分」よりも「はるかに少ない」と、クリミアの予算過程を知る連邦の関係筋は話した。

 

地方からの支援

 一部の資金は、ロシアの地方からの直接支援という形でクリミアに入った。政府は昨年8月11日、クリミアの市町村を21の連邦構成主体に割り当てる構図を承認。各連邦構成主体が、担当するクリミアの市町村を支援することになり、これによってクリミアは27億ルーブル(約53億円)強を受け取った。うち42%は医療とスポーツ、23%は公益事業とインフラにあてられた。

 金融支援に加えて、地方から食料品、医薬品、技術品、さらにはロシアの国旗、連邦大統領の肖像画、国章なども送られた。配達は編入後の数ヶ月間行われた。ただクリミアのセルゲイ・アクショノフ首長によると、貨物の大部分が“盗まれた”という。

 タタールスタン共和国はクリミアのバフチサライ地区に1億4000万ルーブル(約2億7000万円)を送金。「推奨金額7500万~9000万ルーブル(約1億4500万~1億7500万円)に対して」と、タタールスタン共和国のアンドレイ・ツェマホヴィチ・クリミア問題次官は説明した。資金は飲料水の供給、農業、病院の修理にあてられ、また一部をタタールスタンの最大手企業が提供したという。

 チュメニ州はクリミアの黒海地区を担当。学校4校と幼稚園を大改修し、運動施設を建設した。ウラジーミル・ヤクシェフ知事のスポークスマンがこれを明らかにした。修理は特別基金を通じて協調融資の原則に従って行われた。基金にはチュメニ州の住民の寄付金、建設会社の利益からの寄付金なども集まった。

 資金提供者は政府のリストを超える規模で集まり、一部地方は自発的にクリミアを支援。ブリヤート共和国は例えば、クリミアに520万ルーブル(約1000万円)を送金した。

 

税金を手元に残す

 クリミアにとって2014年丸ごとが移行期であった。ロシアの法律すべてが即座に機能したわけではなく、連邦予算に転送されるべき税収はクリミアに残された。連邦税務庁のデータによると、2014年のクリミアとセヴァストポリの連結予算の税収は346億ルーブル(約673億円)に達した。

 連邦予算に転送されるべき税金で残されたものとしては付加価値税がある。金額は70億ルーブル(約13億円)ほど。モスクワ国立大学の教授で、地域問題の専門家であるナタリヤ・ズバレヴィチ氏がこれを指摘する。「クリミアの実際の補助金水準は85%、付加価値税を除くと80%。ちなみにイングーシ共和国の補助金水準は87%、チェチェン共和国は82%」

*記事全文(露語)

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