アレクセイ・ウリュカエフ経済発展相=セルゲイ・ミヘエフ撮影/ロシア新聞
-どのような分野で協力関係が発展しているのでしょうか。
もっとも重要な分野は、依然として燃料エネルギーです。例えば、石油化学およびガス化学における協力によって、アジア太平洋で流動性の高いヘリウム、ポリエチレン、メタノールといった化学製品の生産拠点を、沿海地方に創設することが可能になります。
当然ながら、すでに実績のある自動車産業の協力関係の強化、自動車の現地生産の深化、また経済特区および経済特区が創設されつつある極東の自動車集積での活動に重きを置いた、自動車部品生産の拡大も続けていく必要があります。
ロシアと日本の2013年の貿易額は、前年と比較して約7%増の330億ドル(約3兆3000億円)強まで伸びている。ロシアの輸出額は27%増の200億ドル(約2兆円)。ここ4年で両国の貿易は2倍以上に拡大している。
-日本とロシアは経済関係の「ペレザグルースカ(再起動)」を成功させたと言えるのでしょうか。いかにしてそれを可能にしたのでしょうか。
日本とロシアの関係の動態は良好です。ロシアには天然資源の多様さや、日本の技術に対する高い需要、消費者市場を含む市場の成長という魅力があります。ロシアで活動する日本企業は、ここ5年で300社から1.5倍の450社まで増えました。例えば、アムール州政府と北海道銀行は1年前、農業協力の促進に関する覚書を交わしており、これによって創設された合弁企業は、アムール州の500ヘクタールの耕地にそば、大豆、とうもろこしを植えて、洪水にもかかわらず、良い収穫を得ることができました。
我々は現在、日本の運営会社が関与する農業特区を、極東に創設する案を検討しています。ロシアの農業部門発展で、日本の経験を参考にできればと思っております。
これ以外に、すべての相互活動分野に必要な、一貫した協力メカニズムが構築されています。
ロシア直接投資基金(RFPI)、対外経済活動発展銀行、日本国際協力銀行(JBIC)は1年前、日露投資プラットフォームの設立に関する覚書に署名を行いました。現在は共同プロジェクトのポートフォリオを作成しているところです。その最初の投資案件として、RFPI、コットンウェイ、三井物産は2月、繊維製品の専門的処理分野で協力することで合意しました。概算投資額は約36億ルーブル(約108億円)です。
このようなメカニズムには、経済特区も含まれます。ロシア国内の経済特区には現在、日本の投資家が参加している企業が8社登録されています。2年前には3社しかありませんでした。
-今回はどのような提案を持って日本に行くのでしょうか。
我々は3月19日、日本の経済産業省とともに、第6回日露投資フォーラムを東京で行います。ロシアは投資環境の一定の改善に成功しました。ただ最近の情勢は投資環境にあまり良い影響を与えておらず、不可抗力とはいえ、基本指標は変化します。したがいまして、情勢の「前」カテゴリーと「後」カテゴリーにわけて話さなければなりません。
日本のビジネスには提案があります。例えば、民営化やM&Aへの参加を含めたロシアの資産の部分です。フォーラムではシベリアと極東における、質の高い投資協力の拡大を提案します。
特に、この地域における、輸出を主な目的とした大型の非原材料生産基地の創設と、ヨーロッパ-アジアの輸送インフラの大規模な拡大プロジェクトです。
さらに医療、農業、食品産業、都市の刷新などの新しい分野、経済特区および工業団地、中小企業の分野などでの協力についても話し合いが行われる予定です。
両国の経済界はこれらの分野に高い関心を示していますが、時に具体的なプロジェクトの実現には、情報不足になっていることもあります。潜在的なパートナー企業を、その関心に応じて有望な分野に導くのが我々の仕事になります。
極東に率先発展領域を創設するプロジェクトもあり、今年7月1日までに地理的な位置が決定します。日本でも昨年12月、国家戦略特別区域の基本方針が決定され、その具体的な場所が近い将来定められます。
-両国の投資協力はどのように進んでいるのでしょうか。ロシアに日本の直接投資を呼び込むことはできるのでしょうか。
日本の対外直接投資額は累計で1兆ドル(約100兆円)以上ですが、対ロシアは27億ドル(約2700億円)にとどまっており、両国の広い経済活動範囲、潜在的な協力規模に合っていません。
今ロシアの発電施設に最新式の発電・網設備を再装備し、都市の公営暖房システムに革新を導入しているところですが、当然ながら、協力の成功実績もあります。ロスセチと日立製作所の協力によって、ロシアの電力網への日本の先端技術の導入を加速できます。川崎重工は発電装置の現地生産化に取り組んでいますが、こちらはまだ始まったばかりです。独立系統地域で風力ディーゼル発電とスマート・マイクログリッド・システムを組み合わせるプロジェクトもあります(駒井ハルテック、三井物産、東洋エンジニアリング)。機械製造、船舶建造、工作機械製造、冶金、金属加工での協力も有望です。
日本の投資が行われている分野には、製薬や医療機器を含む医療、核医学、遠隔治療、医療教育、共同研究開発がありますが、日本の大手製薬会社、小さな貿易会社、北海道の病院が活躍しています。武田薬品は今年、ヤロスラブリにあるロシア初の日本の医薬品生産工場で生産を開始します。ピー・ジェイ・エルと北斗病院は昨年5月、ウラジオストクでロシア初の日本の遠隔診断センターを開設しました。
極東の港や鉄道の刷新を含む、輸送とインフラの分野でも協力があります。
-ロシアから日本への輸出では、資源以外にどのような品目が有望でしょうか。その中に加工品はありますか。
我々は現在、国の産業を刷新しており、原料の輸出から完成品の輸出への移行を進めています。当然ながら、シベリアと極東の資源という自然な競争優位性にもとづいていますが。日本の機械市場における競争は極めて厳しいですし、付加価値の高い製品でなければ、より発展しているロシアの西部から日本に工業製品を輸送するのは高額で無理があります。
それでも、ロシアの加工産業の製品を日本へ輸出する課題は排除しません。例えば、イルクーツクのエネルプレド工場の油圧設備や、ソエクスの線量計を日本市場で展開するプロジェクトが検討されています。
石油化学やガス化学の製品以外にも、液化水素、穀類作物、大豆、水産物、木材製品などの輸出品には見込みがあります。これらの品は、日本の世界的な貿易投資会社を通じて、第三国に輸出することも可能です。
-2014年の両国の貿易見通しはどうなりそうでしょうか。
今年の二国間貿易をプラス成長にする必要があります。ただ、ロシアから日本に輸出される品目の大半(86%強)が、鉱物燃料(原油、液化天然ガス、石油製品、炭)と付加価値の低い製品であることに満足しているわけではありません。日本からロシアに輸入される品目は、自動車や機械などの付加価値の高い製品です。そのため、ロシア企業の非原材料輸出や、ロシア国内の革新プロジェクトへの投資誘引を支援するという課題を我々は解決しているのです。
現在、先端農業技術の導入と、物流およびIT分野のノウハウにおける協力が拡大されていますが、これは有望な取り組みのほんの一部です。
携帯通信オペレータや北東アジア諸国の需要者に情報サービスを提供するための、15メガワットの「クラウド・コンピューティング」の最新式データ処理センターを、ブラゴヴェシチェンスクとイルクーツクに建設する案もあります。
原発の稼働が停止し、電力が著しく不足している日本にとって、データ処理の一部をロシアに移し、国内の電力消費を削減できるこのプロジェクトは、おもしろいのではないでしょうか。
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