ニヤズ・カリム
アコルド
イタリア語のアッコルド(Accordo)とは「調和」を意味し、さまざまな言語で広義的に「同意、合意」の意味で使われる。しかしながら、ロシア語のアコルド(Akkord-Аккорд)とは、音楽の専門用語としてしか使われず、その意味は異なる高さの音が重なり合う「和音」である。
アルチスト
ラテン語からフランス語になり、ロシア語に入った借用語である。ラテン語でアルティスト(Artist)とは「職人」を意味していた。現代ロシア語でアルチスト(Artist-Артист)は少し違う意味になっており、舞台(劇場、オペラ)や映画に出演する俳優を意味している。「お前アルチストだな!(Nu ty artist!-Ну ты артист!)」という表現は、誰かが何か変わったことをして皆を驚かせた時に使うことができる。他の言語とは異なり、ロシア語で芸術家をアルチストとは言わない。
デカダ
ギリシャ語でデカ、デカドス(deka、dekados)とは「10」を意味していた。これは多くのヨーロッパ語で10年を意味しているが、ロシア語でデカダ(Dekada-Декада)とは10日のことである。
クリマクス
ギリシャ語からドイツ語になり、ロシア語に入った借用語である。もともと「階段」がクリマクス(klimax)と呼ばれていた。英語のクライマックス(climax)には広い意味があり、何らかのプロセスの最高潮、ヤマ場、頂点をこのように呼ぶ。ロシア語でクリマクス(Klimaks-Климакс)とは医療用語である。意味は「更年期」。
コンドゥクトル
ラテン語からドイツ語のコンドゥクター(Konduktor)になり、ロシア語に入った借用語である。もともと「随行者」を意味していた。現代ヨーロッパ語の一部では、オーケストラの指揮者がこのように呼ばれている。ロシア語でコンドゥクトル(Konduktor-Кондуктор)とは、公共交通機関で乗客に乗車券を販売する車掌のみを意味する。ただし、すべての交通機関で自動改札口が普及している現在、この意味は廃れつつある。
マガジン
アラビア語からドイツ語のマガジン(Magasin)またはオランダ語のマガジン(magazijn)になり、ロシア語に入った借用語である。アラビア語のマフサン(mahsan)とは「商品の倉庫」を意味する。現代ヨーロッパ語では雑誌をマガジンと呼ぶ。ロシア語では少し”ズレた”ものの、元の意味から著しく逸脱してはいない。マガジン(Magazin-Магазин)とはまず、小売店を意味する。
プロスペクト
ラテン語からドイツ語のプロスペクト(Prospekt)になり、ロシア語に入った借用語である。もともと「眺望、見地」を意味していた。現代ロシア語でプロスペクト(Prospekt-Проспект)には、「広くてまっすぐな大通り」、「出版物の要領」、「案内広告」の3つの意味がある。現代英語などに見られる「見通し」の意味では使われない。
スペクリャツィヤ
ラテン語からドイツ語のシュペクラツィオン(Spekulation)になり、ロシア語に入った借用語である。もともと「偵察、諜報」を意味していた。現代ロシア語でスペクリャツィヤ(Spekulyatsiya-Спекуляция)とは、財産、貴重品、製品などの買い占めと転売で利益を得る「闇取引」や「投機」を意味し、とてもイメージが悪い(商品価格がすべて中央によって固定されていたソ連時代から)。他に「哲学的思弁」も意味するが、これは極めてまれな使い方である。
ファミリヤ
ラテン語からドイツ語のファミリエ(Familie)になり、ロシア語に入った借用語である。ラテン語のファミリア(Familia)は「家族の一員」を意味していた。現代のヨーロッパ語では、これにもとづいて「家族」を意味している。ロシア語でファミリヤ(Familiya-Фамилия)とは家族ではなく、「姓」である。
ヴェリヴェトとサティン
この2種類の布の名称は、しばしば翻訳で間違いが生じている。ベルベット(Velvet)を正しいロシア語に訳すとバルハト(Barhat-Бархат)、サテン(Satin)はアトラス(Atlas-Атлас)である。ロシア語のヴェリヴェト(Vel'vet-Вельвет)とは畝のある布。これは英語でコーデュロイ(Corduroy)になる。サティン(Satin-Сатин)とは高級なアトラスではなく、安い綿サティーンである。綿サティーンは英語でサティーン(Sateen)。ソ連時代、この綿サティーンでトランクスがつくられていた。
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