ロシアのドーピング検査機関元所長のグリゴリー・ロドチェンコフ氏
ヴァレリー・メリニコフ撮影/ロシア通信ロシアのドーピング検査機関元所長のグリゴリー・ロドチェンコフ氏に対する捜査で、露スポーツ選手のサンプル廃棄の容疑に関連して、新たな事実が浮かび上がった。ロシア連邦捜査員会のウラジーミル・マルキン報道官が伝えた。
捜査の過程で、ロドチェンコフ氏が禁止薬物を不法に売る一方で、露スポーツ選手のサンプルを故意に廃棄したことが判明したという。
「暫定的な捜査結果として、次の事実が突き止められた。すなわち、ロドチェンコフ氏は、それらの禁止薬物をアメリカで入手し、それを売る際には買い手に、ドーピング検査に際し服用の事実を隠ぺいすると約束していた。捜査当局には、同氏が単に実行犯であるのみならず、一連の類似の犯罪の主犯兼組織者であると考える根拠がある」。コメルサント紙は、マルキン報道官のこうした発言を引用している。捜査当局の推測では、ロドチェンコフ氏は、禁止薬物を利用した事実を隠し刑事責任を逃れる目的で、サンプルを廃棄した。
「これらのサンプルを廃棄した結果、ロシアのイメージが損なわれただけでなく、実際にどの選手が禁止薬物を使用したか分からなくなった」。マルキン報道官はこう述べた。
捜査当局は、米国在住のロドチェンコフ氏の尋問を行うための措置を講じたという。
今年の5月半ば、米紙ニューヨーク・タイムズは、ロドチェンコフ氏の内部告発を含む記事を掲載。そのなかでロドチェンコフ氏は、ロシアにはいわゆるドーピング・プログラムが存在していたと断言した。このプログラムは、2014年ソチ冬季五輪で好成績を上げるため、長年にわたり綿密に計画されてきたという。
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、ロドチェンコフ氏の衝撃的な告発は、最悪の場合、ロシア・チーム全体のリオ夏季五輪欠場に至る、極めて深刻な結果をもたらしかねないと述べた。一方、ヴィタリー・ムトコ・ロシア連邦スポーツ相はこれに関連し、世界反ドーピング機関(WADA)は、ロドチェンコフ発言の調査に乗り出しながら、なぜか露スポーツ省に情報を求めてこないと指摘した。
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