マキシム・シェメトフ/タス通信
-長期離脱からの復活は容易ではありません。ですが2人で復活しましたね。今シーズン前半については、どれぐらい満足していますか。
まず、私たちが復活できたことに満足しています。試合後は悔しいと思うこともあるものですが、今は私たちにとって、大会であろうとショーであろうと、演技できることが大きな幸せです。1年前にはどうなるかわかりませんでしたから。悠子も選手生活を継続すべきなのか、引退して日本に帰国すべきなのか、迷っていました。私自身は今後滑れるかどうかわかりませんでした。ですので今は、出場できるだけで幸せだと考えています。
-今シーズン、氷上での2人の動き、相性、関係が、これまでとはまったく違うという印象を受けます。1年の空白で、互いの受け止め方が何か変わったのでしょうか。
私たちがようやく、完全な大人の滑りをできるようになったということではないでしょうか(微笑)。ただエレメントを集めただけの演技ではなく、ストーリーを見せています。また演技している間は、互いに前向きな感情を伝えるように努めています。結果は後からついてきます。
-タマーラ・モスクヴィナ・コーチは、2人が選手生活を継続すると信じていたそうですね。
はい。指導の手を緩めることなく、「あなたたちを信じているから。復活を試みるか否かにかかわらず、2人が私の選手であることに変わりはない。もしかしたら最後の選手かもしれない。私はずっと一緒だから」と言ってくれました。これはとても力になりました。ファンも応援の言葉がつまった手紙を送ってくれました。
悠子は長い期間私を待ってくれましたし、今はきっと、スポーツを続ける決心をしたことを嬉しく感じていると思います。パートナーを待ちながら一人で滑り続けるのが簡単ではないことを、自分の経験から知っています。悠子にもケガをしていた時がありましたから。いろいろな考えがめぐってきて、大変なんです。だから辛抱してくれた悠子には感謝しています。
-スミルノフ選手にはユーモアのセンスがありますが、川口選手はずっと一緒に活動しているので、冗談を理解できるようになったのではないですか。
もちろん、すべてではないです。日本人の気質は違いますし、ロシアみたいな冗談は言いません。ロシア文化のこの部分を学びとるのは、悠子にとって大変だったでしょう。モスクヴィナ・コーチ1人だけでも本を書けるほど冗談を言いますから。ただ私たちは冗談の意味を説明するようにしていますから大丈夫です。
-川口選手がロシアとロシアのフィギュアスケートに慣れるのに苦労したことはわかります。スミルノフ選手にとって、異なる気質のパートナーに慣れるまではいかがでしたか。
ペアを組んだ時から、とても楽だったんです。悠子は当時、あまりロシア語を話すことができず、私も英語がほとんどできませんでした。モスクヴィナ・コーチは、「あなたたちはなんて偉いのかしら。ずっと黙々と練習してるなんて」と、とても嬉しそうに言っていました(笑)。今はあの時よりもたくさん話をしています。コーチが「成長して会話を覚えたら、練習よりもおしゃべりばかりね」なんて頭を抱えるぐらいですから。もちろん、コーチは冗談で言っているのですけど。
気質の点で障壁は当然あります。ロシア人はオープンですから。日本では意見を言わずに心の中で留め置かなければなりません。女性ならなおさらのことです。
-2人は互いを親友と呼ぶことができますか。
できます。私たちは親友であり、同志であります。自由な時間ではあまり一緒にいないかもしれませんが、どちらかが劇場や他のどこかに行く場合は、互いに必ず電話しあいます。普通に交流していますよ。
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