「モロシカ」=
報道写真1. 「なぜバナナはつっけんどんなのか」
スヴェトラーナ・ラズグリャエワ監督の「なぜバナナはつっけんどんなのか」。アリ・フォルマン監督の忘れ得ぬアニメ映画「戦場でワルツを」(2008年)がきっかけとなったドキュメンタリー・アニメの流行。本作品は実際の音、自然発生的でつじつまの合わぬ会話、静的な景色など、ドキュメンタリー・アニメの多くの特徴を採用しながら、このジャンルに畏敬の念を示している。アニメには家庭のカメラでの撮影を示す、RECマークが表示されている。だがRECマークもキャラクターもすべて描かれたものであり、主人公の物語のドキュメンタリー性を信じる者はいない。尻尾が生えた人の哀れな物語なのだから。本当らしさと空想の驚きの組み合わせが、クロクやベルリン映画祭の関係者に評価されたのだろう。そう、バナナはロシアなのだ。
2. 「カッコウ」
ディナ・ヴェルコフスカヤ監督の「カッコウ」。アニメでこのようなカメラ、撮影手法はめったに見られない。ロシアのアンドレイ・タルコフスキー監督やアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の映画をほうふつとさせる。不思議な光景の中の鋭い物語。カッコウの母親は、母親であることの幸福を悟るのが遅すぎた。
3. 「モロシカ」
ポリーナ・ミンチェノク監督の「モロシカ」。アニメ映画「モンスターズ・インク」やアニメ・シリーズ「マーシャと熊」などで人気のジャンル「少女と大きな獣」に属する、優しい作品。ここではフワフワの熊ではなく、空腹のオオカミが登場する。小さくて親切な少女モロシカが、オオカミを狩猟者から守り、仲良くなる。叙情的な調子により、童話ともラブストーリーとも言えない作品になっている。さまざまなフェスティバルで上映されており、最近ではロシア最大のアニメ祭「アンシ」でも見られた。
4. 「まぬけジャック」
アレクサンドル・チェルノゴロフ監督の「まぬけジャック」。まぬけな男としゃっくりの止まらない王女のちょっとした風刺物語。主人公のジャックは映画「ジム・キャリーはMr.ダマー」の登場人物のように、なんでも間違ってしまう。牛乳をポケットに注いだり、暑い日に頭の上にバターを置いたり。だがそのまぬけさで王女を救うことができ、結婚することになる。33歳のチェルノゴロフ監督はアニメ映画「おとぎ話のようなパトロール」、アニメ・シリーズ「猫とビーバー」の脚本家も務めている。
5. 「敷居にイリイチ」
ミハイル・ソロシェンコ監督の「敷居にイリイチ」。カナダのアニメ作家ノーマン・マクラレンとそのアカデミー賞短編部門最優秀ドキュメンタリー賞受賞作「隣人」で有名になった珍しい技術、ピクシレーションでつくられている。ソロシェンコ監督は現実の俳優と写真をコマ撮りしながら、小さくて落ち着きのない19世紀の詩人アレクサンドル・プーシキンと1917年ロシア革命の指導者ウラジーミル・レーニンの世話をする、普通のマンションに暮らす、普通の家族を描いた。
6. 温かい雪
イリーナ・エリシャンスカヤ監督の「温かい雪」。イスラエルのベザレル・アカデミーの卒業作品としてこのアニメを制作したが、エリシャンスカヤ監督がロシア国民で、作品もとてもロシア的であることから、ロシア作品として多くのフェスティバルに出品している。作品の中には、ソ連の台所、塩漬けキュウリについての会話、父と年頃の娘の関係があり、日常の細かな部分と霊的なやさしさの融合がある。
Warm Snow from Ira Elshansky on Vimeo.
7. 「ハムレット・コメディー」
エヴゲニー・ファデエフ監督の「ハムレット・コメディー」。これはシェイクスピアのパロディーというわけではない。「ハムレット」の演劇をめぐる物語で、舞台ではなく、客席に座っている児童のグループが主役である。児童のグループがいると、どんな悲劇でも喜劇に変わってしまうことがある。
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