日本人とロシア人の交流クラブ

会話クラブ「ラマーシュカ」=

会話クラブ「ラマーシュカ」=

クセニヤ・アフレビニンスカヤ撮影
 日本人の誰もがロシア人の友だちを見つけられ、ロシア人の誰もが日本語を練習できる場所は、モスクワにあるだろうか。「日本センター」の会話クラブ「ラマーシュカ」は、日本語で交流したい人すべてのための友好茶会を毎月開催している。

 日本センターの建物の入口でまず目に飛び込んでくるのは、「この施設は日本国民の友情の印として建設されました」という碑文と日本とロシアの国旗のある石銘板。

 独立非営利法人「日本センター」は、日本国政府によりロシアの6都市に設置され、日露経済交流促進を目的に,訪日研修やビジネスセミナー,日本語講座を実施している。両国の経済交流だけではなく、日本人と日本語を学んでいる希望者は誰でも参加できる会話クラブ「ラマーシュカ」という交流会を2011年から毎月開催し続けている。

 日本や日本語に夢中なロシア人にとっては、さまざまなテーマについて日本人と気軽な雰囲気の中で会話できる貴重な機会だ。交流の”公用語”は日本語だが、ここに来る日本人も、差こそあれ、ロシア語をマスターしているため、ロシア語の練習の機会を逃さない。

 

文学から宇宙人まで

 ラマーシュカは通常、18時に始まり、2時間ほど続く。それぞれのロシア人に名札が配られ、日本語のレベルに応じて、座席番号が伝えられる。部屋の中には複数約10のテーブルがあり、それぞれのテーブルにロシア人3~4人と日本人1~2人がついている。友好的で和やかな雰囲気の中で、参加者は自分で茶を入れ、菓子を取り、気になっているさまざまな疑問について聞いたり、テーマをあげて会話したりする。

 双方が簡単に話題を見つけ、盛り上がれることに驚く。初対面の際の一般的な質問から映画、文学まで、あらゆることについて話すことができる。ふと沈黙して、気まずくなっても、主催者の用意した質問が手元にあるから大丈夫だ。「宇宙人は存在しますか?」や「日本とロシアのアニメについて教えてください」など。

 茶会の途中で、主催者はさらに盛り上げるために、さまざまな大会やゲームを行う。今回は、両国に関連するクイズが出された。

クセニヤ・アフレビニンスカヤ撮影クセニヤ・アフレビニンスカヤ撮影

 

どんな人が参加するのか

 ラマーシュカで出会う日本人は主に、日本の大学からの交換留学生で、留学期間は1年ほど。そのほとんどがモスクワ国立大学の留学生だが、ロシアの地方の大学の留学生も見受けられる。モスクワ以外の街で留学している日本人は、休暇期間中に観光のために必ずモスクワを訪れ、ついでにラマーシュカに立ち寄る。ロシア人参加者はさまざまだ。大学で日本語を学ぶ学生から、とうの昔に卒業している中年までと。

 参加者が日本語またはロシア語を選んだ理由は異なる。例えば、カザン国立大学の留学生、タイシさん(22)は、ソ連の軍歌が好きで、ロシアに興味を持ったという。タイシさんは、ロシアの女性参加者と一緒に、好きな歌を熱心にうたってくれたが、熟達していた。

 神戸市外国語大学からクバン国立大学に留学しているカンダイさん(22)の場合は、状況が少し違う。「最初は大学で法学を学びたかったが、偶然ロシア語を選ぶことになった。それで気に入った」。カンダイさんはロシア語を3年学び、留学して4ヶ月だが、ほぼ自由に話すことができる。「神戸の大学には一緒に学ぶ、ロシア人の良き友人がいる。ウラジオストク出身で、日本に5歳の時に来て、18年ほど暮らしている人。だから一緒にロシア語を勉強した」。外国語習得の最も効果的な手段の一つは、やはり<友好>なのかもしれない。

 

「日本人と交流する方が楽」

 私の隣に座ったモスクワ国立言語大学の卒業生のアリーナさん(21)は、とても日本語がうまい。ロシア人よりも、日本人と話す方がしっくりくる、と打ち明ける。日本人の友だちがたくさんいて、日本語の国の日本に夢中であるため、日本で暮らし、日本企業で働くという夢に向かっておのずと前へ進む。

 年齢が上の参加者にも注目してしまう。そのうちの一人は、日本とは関係のない仕事をしているが、日本語のレベルがとても高く、日本の文学、映画、歴史を良く知っていて、熱心にこう語る。「日本は私の趣味。書道に夢中になった時は、日本で有名な書道家に習ったこともあるぐらい」

 ラマーシュカの運営ボランティアの中には、日本人留学生やロシア人学生もいる。参加者の人数は季節によって変わるという。「例えば、3月に日本人が少なかったりする。年度末で日本に帰国するから。4月になると戻って来る。7月はロシア人がダーチャ(別荘)に行ったり、休暇でいなくなったりするから、一番人が少ない。全般的には、通常はロシア人50人、日本人20~30人ほど集まる」

 ラマーシュカに今回行ってみて改めて思ったのは、このおもしろくて優しいクラブについて、もっとたくさんのロシア人と日本人に知ってほしいということ。友好茶会では、新しい友だちを見つけることができるし、昔の知り合いに会うことができるし、自分の国と他の国についていろいろ知ることができる。私個人の経験から言うと、ここで芽生えた友情は、クラブの外へと伸びていく。ラマーシュカで知り合った日本人女性とは、その後ロシア、そして日本で、何度も会えている。  


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