花にまつわる10の俗信

画像:ドミトリー・ディヴィン
 食べる花、燃やすべき花、うらないの花。ロシアには花にまつわる迷信がたくさんある。うちのいくつかをロシア・ビヨンドがご紹介する。

1/ 白いカーネーション

 白いカーネーションは、美しく、高貴な花。「才能」のシンボルであるとされる。ただ、この花は、「才能」や「成功」を吸い取ってしまう、という俗信がある。芝居やコンサートの後、アイドルに花を贈る人がいるが、そんなとき、白いカーネーションの花束を贈ってはいけない。逆に、寝る前に枕の下にカーネーションを置いておくと、翌朝きっといいアイデアが思い浮かぶ、という。 

2/ 赤い涙

 カーネーションにはもうひとつ迷信がある。目が痛いとき、目に赤いカーネーションの葉をこすりつけると、痛くなくなる、というものだ。次のような伝承がもとになっている。聖母が刑場へ向かう我が子を見送るさい、血の涙を流した。その目からは、涙のかわりに、赤いカーネーションがこぼれ落ちた。こういう話だ。

3/ ライラックを食べよう

 話はかんたん。ふつうライラックは花弁が4枚だ。5枚(ましてや6枚)のものはとても珍しい。ゆえに、幸運を呼ぶものであるとされる。幸運を逃さないために、その花は絶対に食べてしまわなければならない。

4/ 愛する人にケシは贈るな

 真っ赤なケシの花。とても優しい花だ。そして、はかない花である。花弁はすぐ落ちる。ケシが弱さや短い恋のシンボルとされるゆえんだ。立派な男たるもの、このような花を女性に贈ることは控えたい。

 ケシの実については、もっと明るい迷信もある。たとえば結婚式に、若い二人の幸せを願って、雑穀とケシの実のカーシャ(お粥)が出されることがある。新婚さんの靴にケシの実を入れるということもする。子宝祈願だ。

5/ スズラン占い

 文化あるところ、スズランの起源をめぐる伝承がある、といっても過言ではない。ロシアも例外ではない。次のような話が伝わっている。海の王女ヴォルホヴァが、豪胆な商人サトコ(リムスキー・コルサコフの同名オペラで知られる)に恋をした。ところがサトコは地上の娘・リュバーヴァの方を選ぶ。失意のヴォルホヴァが岸辺で泣くと、その涙は雪白のスズランにかわった。以来スズランの花は清らかな、報われない恋のシンボルとなった。

 またスズランは、古代ルーシの時代より、占いに使われていた。「好き・嫌い」の恋占いはマーガレットの花で行なう慣わし。スズランで占うのは、願いが叶うか、叶わないかだ。「すぐ叶う、そのうち叶う、叶わない…」こう繰り返しながら、一枚一枚、花弁を散らしていく。

6/ 蚊やブヨを掃うマーガレット

 野の花マーガレットは薬効で知られ、また上述のように、恋占いの花としても知られる。それよりマイナーだが、ロシアにはこんな迷信がある。火をたいて、そこにひと束のマーガレットを投げ込めば、蚊やブヨが近寄らなくなる、というものだ。これがいかに重要なまじないであるかは、ロシアの中緯度帯で夏の夕べを過ごす人には即座に理解される。テントをかついでロシアを旅する人、友達のダーチャに遊びに出かけるのが好きな人は、マーガレットを忘れずに。

7/ 結婚式にカラーを贈られたカップルは破局する

 雪のように白いカラーの花は、花嫁の純白のドレスによく似合う。しかしロシア人の知り合いの結婚式にこの花を贈るのはご法度だ。この洗練された造形美をもつ花は死を象徴するものとされる。結婚式のケースでは、夫婦関係の死、すなわち、「早期の離婚は避けられない」との暗示を若い二人に送ることになってしまう。

8/ 愛する人には黄色くない花を

 なぜ黄色い花を贈ってはいけないか。理由、というか、説は、二つある。ひとつは、「黄色い花は浮気の象徴」というもの。もう一つは、「黄色い花はけんかと別れを招く」というもの。黄色い薔薇が好きなあなたも、ロシアでは白か赤を選ぶのが無難だ。

9/ 花がしおれると新しい物が届く

 もらった花を、数日飾って、すぐに捨ててしまうのはもったいない。家の中で花がしおれると、それは、花のもらい手に何か新しい物が届く、というしるしである。吉兆なのである。

10/ 鉄の掟、「花は奇数本」

 そして最後に、一番重要なルール。誰にも、決して、偶数本の花を贈ってはいけない。ロシアでは、偶数本の花を用意するのは、墓場に花を供えるときだけだ。花の種類が何であれ――チューリップであれ、アイリスであれ、カーネーションであれ――、花束を編む場合、花の本数は5、7、9…と、絶対に奇数にすること。

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