『ズボンをはいた雲』

刊行:2014年5月

ウラジーミル・マヤコフスキー 著

小笠原 豊樹 訳 

土曜社

 

 詩の翻訳は難事である。たとえ比喩や視覚性が優越していようと、詩である限りは情緒を湛えた音楽性と無縁ではありえないからだ。異質な音声体系のロシア語詩の翻訳の際、訳者は意味を正確に伝えると同時に、日本語詩としての声調を創造する必要がある。

 1950年代にロシア未来派の代表的な詩人マヤコフスキー(1893-1930)の翻訳で、この困難に果敢に挑戦し、衝撃を与えた小笠原豊樹は、半世紀以上の時を経て、同じ詩人の新訳を世に問おうとした。本書を嚆矢とする「マヤコフスキー叢書」である。残念ながら氏は7冊まで改訳したところで逝去されたが、叢書は旧訳も交えて全15巻を刊行中。1世紀前のロシア前衛詩人の苦闘は、詩人岩田宏でもあった訳者の言葉を通して、現代日本にいかなる相貌を現すだろうか。

マヤコフスキーについて読む:陰鬱な美:”ズボンをはいた雲” >>>

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