ナターリア・ゴンチャロワ、1910年
大叔母は詩人プーシキンの妻
彼女の父は建築家で、彼女の大叔母は、詩人アレクサンドル・プーシキンの妻ナターリアだ。
1901~1909年にモスクワ美術アカデミーで初め彫刻を学んだが、やがて絵画に熱中するようになり、とくにコンスタンチン・コローヴィンの絵に惹かれる。1900年に、未来の夫、ミハイル・ラリオーノフと出会っている。ふたりは、ロシア・アヴァンギャルドの主な創設者となる。
在学中の1906年に早くも彼女の作品は、外国で紹介されている。
バレエ・リュスの舞台美術を担当
1914年には、ロシア・バレエ団(バレエ・リュス)の創設者・主宰者であるセルゲイ・ディアギレフの委嘱で、リムスキー=コルサコフのオペラ『金鶏』(プーシキン原作)の舞台美術を手がけた。
1915年からは、セルゲイ・ディアギレフの招きで、ロシア・バレエ団の舞台美術を担当するため、夫とともにフランスに移り、生涯そこにとどまった。
かっ飛んでいて温かい絵
ナターリア・ゴンチャロワの絵は、自由奔放でかっ飛んでいて、それでいて温かみと深みがある。見ていてとにかく楽しい。オペラ『金鶏』の舞台では、可愛い鶏が、思い切り派手にピカピカ光っていたらしい。
ゴンチャロワの絵は、民芸の影響、イコン、プリミティズム、フォーヴォズム、キュービズム、未来派等々のさまざまな要素が指摘され、その作風は時とともに大きく変わるが、常に彼女ならではの個性が刻印されていて見事だ。
史上最高額の記録保持者
ゴンチャロワの作品は、女流画家として史上最高額を記録している。2007年にオークションハウス「クリスティーズ」に出品された『リンゴ摘み』(1909)が、490万ポンドで落札され、史上最高。さらに2010年にも、やはりクリスティーズで、油絵『スペイン』に642万5250ポンドの値がつき、記録を更新した。
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