タス通信撮影
「ロシア人が引き取らない、身体の不自由な子供はどこへ?」
長く活動しているロシアの養子縁組機関のひとつ、「ニュー・ホープ・クリスチャン・サービシズ」のガリーナ・シガエワ所長はこう話す。「閉鎖する準備はできている。この改正案に署名が行われたら、やることがなくなる。養子に取られていくのは、ロシア人が引き取らない、孤児院に残るしかない、体の不自由な子供たちであることは皆知っている」。
世界のさまざまな国に事務所を構える養子縁組機関「インターナショナル・クリスチャン・アダプションズ」のロシア事務所も、近いうち閉鎖することを考えている。
もうひとつのアメリカの養子縁組機関のロシア事務所代表は、名前を出さないことを条件に、事務所閉鎖について内部で話し合ったことを認め、次のように話した。「改正案可決というニュースを聞いて、すぐにロシア事務所の閉鎖について話し合った。この法律により何もできなくなる。ここ数年、われわれの養子活動は妨害されるようになり、資金洗浄に利用しているようなことを言われ、人道プログラム実施権を奪われた」。
政治的アドバルーンの応酬?
だが、改正案で特に反応せず、ロシア政府の決定を落ち着いて待っている機関も一部ある。「グローバル・アダプション・サービシズ」ロシア事務所のボリス・ドルジュネフスキー所長はこう話す。「われわれの事務所は、下院で署名される新法のいかなる決定にも従う用意がある。子供の利益、国家の利益、どちらも考える」。
ロシアの活動団体「人権のために」のレフ・ポノマリョフ代表は、下院で可決されたこの法案に、プーチン大統領は署名をしないと考えており、どこの機関も閉鎖する事態にはならないだろうと言う。
「各機関に事務所の閉鎖を急がないよう伝えたい。大統領がこの法案に署名するとはあまり思えない。『マグニツキー法』に対抗したいなら、それを可決したアメリカの上院議員に対する措置を考えるべきだ。なぜ孤児院の子供たちが犠牲にならなければならないのだ」。
政権内からも反対の声
ドミトリー・リヴァノフ教育・科学相と、セルゲイ・ラヴロフ外相は、「ジーマ・ヤコヴレフ法」改正案に対して、反対の声をあげている。ワレンチナ・マトヴィエンコ連邦院議長も、この法案の実現を急がぬよう、議員に働きかけている。
アメリカ人はここ20年、約4万5000人のロシアの子供を養子に引き取っている。直接孤児院から引き取る場合や、養子縁組機関を利用する場合がある。養子に引き取られた子供の多くは、先天性の重い病気を抱えていた。
統一ロシア党のエフゲニー・フョードロフ党員は、養子縁組機関が早期に閉鎖されることを望んでいる。「これらの機関に対する同情心はない。これは子供を売る単なるビジネスにすぎない。条件に合う子供を探し、アメリカに送るための法的手続きをして、多額の金を稼いでいることは誰もが知っていることだ」。
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