民間療法が再評価

セイヨウカノコソウ(纈草)を集める御婆さん達 =PhotoXPress撮影

セイヨウカノコソウ(纈草)を集める御婆さん達 =PhotoXPress撮影

今日、ロシア社会では、民間療法の適法性や妥当性が頻繁に取り上げられている。

そうした治療法は無益であると言う人もいれば、正規の医療は無力だとして信用しない人もいる。問題は、人々に民間療法についての明確な理解が欠けている点にある。

昨年末に採択された国民の保健に関する連邦法は一定の基準を示し、今後ロシアにおける民間療法は国家の医療と対等に伝統的医療とみなされる。

19世紀後半まで、ロシアの医療は完全に民間療法を基盤としていた。医者は自然を観察して人間の健康に有益なものをすべて自然から得ていたのである。

私たちの祖先は、民間療法に関する新たな知識を他民族からも取り入れた。極東に住む中国人は病気に効く森の植物(アヘン、チョウセンニンジン)や蛇に咬まれたときの応急処置を教えてくれた。

16世紀には、モスクワその他の都市で比較的広範な薬草の商いが発展し、イワン雷帝の治世には皇帝とその親族のための薬局がルーシ(ロシアの古称)で初めて創設された。

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その後、モスクワにロシアの医療と薬事を一括して担当する医務庁が創設され、ピョートル1世の治世には薬局や薬園がすべての大都市に現れた。

ここ十年、ロシアでは、徐々に伝統医療と民間療法の接近が見られている。医師の多くは様々な治療法を組み込んでおり、薬剤師たちは植物療法を取り入れている。

ロシアでは、薬草による治療は最も普及している民間療法である。インフルエンザの際にはシナノキの花弁やキイチゴの果実の浸出液を飲み、扁桃炎の際には乾したコケモモの浸出液でうがいをするか、搾りたてのタマネギの液汁を一日に茶さじ数杯摂取するとよい。

地域による薬草の種類や処方の多様性は、広大なロシアに特徴的と言える。植物中の活性化物質の含有量は、地域の気候、土壌、その他多くのファクターに直接左右される。

シベリアや極東の山腹には、リューマチや風邪に効くハイマツが生えている。呼吸器疾患に効くとされ、素晴らしい抗炎症作用を具えているウラルカンゾウはウラル地方でしかお目にかかれない。

ロシア中央部には抗菌、抗細菌、抗炎症、毛管増強といった作用を具えたオトギリソウが広く自生している。

とはいえ、民間療法は薬草に限らない。マッサージ、バーニャ(蒸し風呂)、鉱物療法、動物セラピーもある。

しかし、あらゆる治療には賢明なアプローチが求められる。見かけは何でもなさそうな草木でも使用法を誤ればとんでもないことになる。

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