クリル諸島は2025年までに、補助金を要する領域から先行発展領域に変わるかもしれない。ロシア政府は10年開発計画を承認。700億ルーブル(約1400億円)ほどが割り当てられる。資金の一部はTOR創設に向けられる。
「クリル諸島への投資を呼び込むために、TORが創設される可能性がある」とアレクサンドル・ガルシカ連邦極東発展相はREGNUM通信に述べた。日本を含む、外国企業の誘致にロシアは関心を持っていると、ガルシカ極東発展相。
クリル諸島が属するサハリン州は、すでにTOR創設案を作成している。サハリン州投資・対外関係部のエレーナ・スダコワ臨時部長がこれをタス通信に伝えた。
「クリル諸島にTORを創設する際、地元のすべての強みを活かす。それは資源やアジア太平洋諸国への近さ。現在、クリル諸島にTORを創設するための申請書類の作成作業が行われている。これは漁業と水産加工、観光、採金の3分野の展開」とスダコワ臨時部長。
漁業分野のプロジェクトの中でより興味深いと考えられているのが養殖。「ロシアの専門家のデータによると、クリル諸島(特に国後島)の水と条件はホタテ、ウニ、ナマコ、昆布の養殖に最適。これらの食品はアジア太平洋諸国で需要が高い」とスダコワ臨時部長。
「クリル諸島で輸出志向生産が整備されるなら、アジアの生産者あるいは小売チェーンと協力して、その要件に合うようにするのが一番」と、国際関係大学東洋学講座のナタリヤ・スタプラン准教授は話す。
専門家はまた、魚廃棄物を魚粉にする加工工場や魚市場を有望だと話す。「(魚市場は)水産物ビジネスの『透明性』を高めるし、外国企業を含む顧客への保証となる」と話すのは、ロシア戦略研究所アジア太平洋研究地域センターのピョートル・サモイレンコ所長。極東のこのような電子オークション市場は今のところ、ウラジオストクにしかない。
海外のアジア太平洋地域市場では、採金への潜在的関心があるかもしれないと、サモイレンコ所長。しかしながら、これについて話せるのは、金の価格が回復してからだ。ここ1年(2014年8月以降)で17%下落、2011年8月以降約40%下落している(1オンスあたり1771ドルから1088ドルまで値下がり)。
投資家はTORの運営会社である「極東開発会社」を通じて、投資家の出資比率最大49%で同社と子会社を創設し、TORに参加することができる。
「極東、特にクリル諸島のTORについて、日本側にこのモデルへの関心が生じたら、このモデルの枠組みの中で活動する用意があると日本側に伝えた」とガルシカ極東発展相は先月28日に述べた。
専門家は、日本とロシアの領土問題にかかわらず、アジアの投資家、特に日本の投資家が参入する可能性を指摘する。サモイレンコ所長は、日本と中国の尖閣諸島の問題を例にあげる。「(尖閣問題で)政治的なかなり厳しい表現や関係の悪化があっても、両国の互恵的な経済プロジェクトを阻んでいない。そのため、クリル諸島についても、可能性は高い。プロジェクトが互恵的であることが重要」
「日本や海外の企業は政治的ないざこざではなく、まず、投じた資本の回収について考える」とスタプラン准教授。ロシアでは経済規則がしばしば変わるため、TORの枠組みの中で長期的な特典があるなら、投資家を刺激する可能性があるという。
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