北極海の大陸棚の領有問題、ロシアが国連に再申請

 ロシアは国連に対し、北極海のロモノーソフ海嶺その他の海嶺を大陸棚の延長と認めるよう、再申請を行った。この申請の要旨は、国連の大陸棚限界委員会(CLCS)の公式サイトに掲載。委員会の決定は、今年10~11月になる見込みだ。

未採掘の天然ガスの約30%、石油の15%

 この国連に対するロシアの申請では、当該の大陸棚が陸地の自然な延長であることが根拠付けられている。「北極海中央部の一連の海嶺、すなわち、ロモノーソフ海嶺とメンデレーエフ海嶺、およびアルファ海嶺とチュクチ・プラトー、さらに、これらの海嶺を分かつチュコツカヤ海盆とポドヴォドニコフ(潜水艦乗組員)海盆は、大陸の延長としての性格を有し、当該地域の大陸の自然な一部をなす海嶺となっている」。このように申請には記されている。

 国連海洋法条約によれば、200カイリの排他的経済水域(EEZ)を越えている海底でも、国連の大陸棚限界委員会(CLCS)が、その国の陸地からの自然な延長である「大陸棚」と認めれば、同国は、その水域を拡大し、地下資源の開発権を獲得できる。

 北極海海底の領有権は、ロシア以外にも、デンマーク、カナダ、ノルウェー、アメリカが主張しているが、各国のこのような関心の高さは、地質学者らの見解によると、この水域の海底に、まだ採掘されていない天然ガスの約30%、石油の15%が眠っているからだという。

 

各個撃破に作戦を変え

 ロシアは既に2001年にも、ロモノーソフ海嶺をはじめとする北極海海底の領有の主張を試みたことがあるが、申請から3年後(そこには、オホーツク海海底の領有主張も含まれていた)、CLCSにより却下された。

 その後、ロシアは、これらの地域をいくつかに分けて、個々別々に領有を勝ち取るように作戦を変えた。その結果、2014年3月には、オホーツク海中央部の大陸棚5万2千平方kmの領有が認められた。

 これに関連しロシア側は、今回の申請で次の点を強調している。「デンマーク、カナダ、米国の学者により近年、一連の厖大な地質学・地球物理学の研究が行われた。…にもかかわらず、これらの研究結果の大部分は、利用が制限されており、今のところ、完全に公開されてはいない」

 また申請では、ロシアがデンマーク、カナダ、ノルウェーと協議を行ったことも伝えられている。というのは、デンマークも、グリーンランド北方の大陸棚に関する申請を提出しているが、当該地域は、ロシアが主張する地域とかなりの部分重なり合うからだ、と申請には述べられている。

 なお、CLCS公式サイトで申請要旨に添付された文書には、「その検討は、次回の会期(第39回)の予定に入れられた」とある。この会期は、国連本部で、今年10月12日~11月27日に開催される。「申請を検討した後、委員会は自身の勧告を行う」。この文書にはこう記されている。

 

*記事全文(露語)

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