観光者が陸路でロシアに入るには?

Yelena Afonina/TASS
 ロシアを訪れる外国人観光客は一般的に飛行機でロシア入りしたものだが、現在は制裁により、ロシアへの直行便があるのはドバイ、トルコ、セルビア、カタール、エジプト、中国、イスラエル、独立国家共同体諸国など、かなり少なくなっている。しかし、ロシアへは陸路―自動車あるいはバスで入ることが可能である。このアクセス手段は、飛行機より(しかも乗り換えのあるものより)時間的には長くかかるが、安上がりであることだけは間違いない。

 EU諸国の人々はロシアに入国するにはヴィザが必要である。ヴィザを取得するには大使館または各国のロシアヴィザセンターに予約すればよいだけである。ヴィザの取得には1週間ほどかかるが、受給までの期間については、領事館のサイトまたは申請時に確認すること。世界の25か国がヴィザ不要となっているが、日本はその対象とはなっていない。

ヘルシンキ(フィンランド)―サンクトペテルブルク 

 ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランドなどの市民にとって便利なルート。 

 バス料金は5390ルーブルで、学生料金(13〜18歳、あるいは学生カードISICの所有者)は4850ルーブル。アフトヴァクザール駅またはヴァンタア空港から出発している。

 移動時間は8時間だが、 税関で行列があれば、もう少しかかる場合もある。ヘルシンキからペトロザヴォーツクまでのバスもあるが、いずれにしてもサンクトペテルブルクで乗り換えなければならない。

 ヘルシンキ―ペテルブルク間のバスを運行しているのはエコラインズとラックス・エクスプレスの2社のみである。 

キルケネス(ノルウェー)―ムルマンスク

 ノルウェーあるいはスウェーデン北部に住んでいて、ロシアの中央部ではなく、北部に行きたい人に最適なルート。

 ヘルシンキとサンクトペテルブルクを繋ぐバスは15時まで2〜3時間おきに運行し、23時発の夜行バスもあるが、こちらは1日1便しかない。バスは12時にホエイブクトモエン空港を出発し、19時半に「ポリャルヌィエ・ゾリ」ホテルに到着する。

 乗客がそれほど多く集まらなくても、バスの運行が中止されることはないが、その場合はマイクロバスまたは自動車での移動となることがある。運行しているのは民間企業で、こちらのサイトから事前に連絡を取ることができる。

 バスの料金は6500ルーブル。学生割引はない。

タリン(エストニア)―サンクトペテルブルク

 このルートのバスを運行しているのは3社のみ。既出のラックス・エクスプレス、エコラインズ、そしてバルティック・シャトルである。所要時間は、国境での待ち時間がなければ、およそ7時間。

 エストニアのナルヴァからも出発でき、その場合はわずか3時間でペテルブルクに到着する。料金は2000〜3400ルーブル。このバスはヘルシンキ―サンクトペテルブルクルートと同様、便数もかなりあり、1日9便運行されている。

リガ(ラトヴィア)―プスコフ

 このルートは1日1便しかなく、19時半に出発して、プスコフには夜中の1時半に到着する。運行会社は民間企業で、料金は3950ルーブル。

 プスコフはルーシ時代の歴史に触れることができる素晴らしい街である(プスコフは創建903年!)。フィンスキー公園を散歩したり、地元のクレムリンの塔をゆっくり見学しても楽しい。プスコフの人口は、サンクトペテルブルクほど多くなく、21万人を少し超えるくらいで、街の中心地でも自然の音に耳を傾けることができる。

ヴィリニュス(リトアニア)―ミンスク(ベラルーシ)―モスクワ

 2023年春以降、ロシアのヴィザでベラルーシに入ることができるようになっている。というのも、ベラルーシとロシアは双方のヴィザを共通とすることで合意を結んでいるからである。

 ヴィリニュス―ミンスクのルートはその便数の多さで突出している。バスは1時間に1本運行されており、エコラインズから民間の輸送会社まで多くの企業が運行を行なっている。ミンスクはもちろん、ブレスト、グロドノなど、ベラルーシの街を散策してからモスクワに移動することができる。

 ミンスクからモスクワへの列車には「ラーストチカ」という特急と夜行列車がある。所要時間はそれぞれ、「ラーストチカ」が7時間、夜行列車が10時間となっている。 ただ夜行列車の場合は寝台車になっているため、ゆっくり睡眠を取ることができる。「ラーストチカ」は普通の座席しかない。

 ヴィリニュスからモスクワまでのチケットは3300ルーブル。ミンスクからモスクワは1500〜7000ルーブル。

グダニスク(ポーランド)―カリーニングラード

 カリーニングラードは一風変わったロシアの街である。というのもカリーニングラード州は西の飛地で、周囲をすべて別の国に囲まれているからである。 

 またカリーニングラードの建築物も、ロシアの普通の都市とは異なっており、ヨーロッパテイストが残っている。大祖国戦争でソ連が勝利するまで、ここはドイツの街で、ケーニヒスベルグと呼ばれていた。

 グダニスクからバスでカリーニングラードまではわずか3時間、料金は4000ルーブルである。モスクワからカリーニングラードまではリトアニア経由で列車で行くこともでき、また船(所要時間はおよそ24時間)または飛行機でも(2時間半)行くことができる。

トビリシ(ジョージア)―ウラジカフカス

 バスは1日に9便。ただし曲がりくねった山道を走る覚悟が必要である。

 トビリシからウラジカフカスまでの道はとても一般的なもので、タクシーも数多く走っており、また誰かと乗り合うこともできる。誰かと折半して移動したい場合は、フ・コンタクチェやテレグラムなどのSNSで仲間を募るとよい。好きな時間に出発できるのが便利である。

 ただ、このルートは国境で行列につかなければならないことでよく知られている。バス会社のサイトには所要時間は5〜9時間と書かれているが、実際には丸1日、あるいはそれ以上かかることが多い。特に、休暇先から戻ってくる人が多い夏は混雑する。

 バスの料金は2500〜4000ルーブル。 

陸路で入国する場合の注意点

  1. すべての書類(往復チケット、滞在するホテルの住所と予約証明書、保険、銀行証明書など)を印刷しておくこと。国境で尋ねられる場合がある。もし尋ねられなくても、インターネットに接続できなかったり、携帯電話が繋がらなかったりすることもあるため、プリントアウトしておいた方が無難。
  2. 滞在日数を計算し、荷物数をコンパクトにすること。スーツケースよりもリュックサックの方が良い場合もある。国境での荷物検査ですべてのバッグを持ち運ばなければならないことがあり、時間もエネルギーもかかる。リュックサックにまとめておくとラクで、時短になる。
  3. 食べ物と飲み物を持って行くこと。トビリシ―ウラジカフカスのルートの場合は必須。国境付近に食料品店があまりなく、行列に並ぶと時間がかかる。

*なお、1ルーブルは1.56円(2023年7月11日現在)

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