モスクワの驚きの事実10

Reuters
 モスクワに住んでいても知らないかもしれない事実。

1.以前のクレムリンは今とは違う外観だった。

ピョートル・ペトロヴィチ・ヴェレシャーギン(1836—1886)。モスクワのクレムリンの風景。1879年。

 モスクワ・クレムリンの絵を見れば、その壁が19世紀の末まで赤ではなく、であったことが分かる。ロシアの苦難の時代、いま見慣れている赤い色になる前に、レンガの壁に塗られた白い塗料がところどころ剥げている様子は美しいものではなかった。

 クレムリンの塔の天辺に光る有名な赤い星も、ずっと今のような姿だったわけではない。1935年までクレムリンの塔にはロシア帝国のシンボルである双頭の鷲が飾られていた。かつての体制のシンボルにロシア革命を指導したウラジーミル・レーニンは怒りを感じていたが、レーニンの生きている間に変えられることはなかった。ちなみにクレムリンの星は常に明かりが灯されているが、2度だけ消されたことがある1度は戦時中、欺瞞作戦を目的として。そして2度目は映画「シベリアの理髪師」の撮影のためである。

2.赤の広場には墓地がある

レーニンの一時的な廟を管理するソビエト連邦中央執行委員会名称第一ソ連総合軍事学校の張番とクレムリンの司令官、ルドルフ・アヴグストヴィチ・ペテルソン。1924年。

 クレムリンの壁に最初の共同墓地が作られたのは1917年、個人の墓は1919年。赤の広場のネクロポリスの中央に1924年に置かれたのがレーニン廟で、ここには今なおロシア革命の父レーニンの亡骸が安置されている。

 多くの優れた活動家、軍人、作家などが毎年このクレムリンの壁に埋葬されたが、2013年、モスクワ州に連邦軍事記念墓地が作られ、この慣習は終焉した。現在はこのモスクワ州の記念墓地にロシアの著名な人物や英雄らが眠っている。

3.モスクワの中心部にはほとんどモスクワっ子が見たこともない川が流れている。

ネグリンナヤ川にかかったクズネツキー橋。18世紀。

 1860年代まで、モスクワ市民はこのネグリンナヤ川(モスクワ川の支流)に困らされていた。雨が降ると、水がトルブナヤ広場、ネグリンヌィ路地、クズネツキー・モストにまで溢れた。そこでモスクワ市はこの川をトルブナヤ広場からオホートヌィ・リャードまで伸びる地下河川にした。この地下河川は今も変わらず流れている。

4.モスクワ市は1日で33,000トンの食糧を消費する。

 この重量は地球上でもっとも大きな哺乳類であるシロナガスクジラ234頭の重さに相当する。モスクワっ子たちには毎日の生活にこれほどの資源が必要なのである。

 またモスクワ市民は1日に1,200万ドル消費し、自動車を走らせるのにリンカーン記念堂のリフレクティング・プール100個分のガソリンを使っている

5.マクドナルドの集客数で、モスクワのマクドナルドは記録を持っている。

 モスクワのマクドナルド第1号店は1990131日にモスクワのプーシキン広場にオープンしたのだが、その時、店の前には数キロにわたる行列ができた。この日、このマクドナルドに訪れた人の数は3万人を超え、この記録は今も世界のどの店舗にも破られていない。また2008年にもこのプーシキン広場の店舗は年間280万人の集客を記録し1位となっている。

6.モスクワには記録的な数の百万長者がいる。

 雑誌「フォーブス」の調査によれば、モスクワは常に世界でもっとも裕福な人を惹きつけている。2012年、モスクワは定住する百万長者の数がもっとも多い都市ランキングで、ニューヨークやロンドン、香港を抜いて、1位となった2017年には百万長者の数は73人でランキングで3位にランクダウンした。

 世界の裕福な人がモスクワに集中する理由について、フォーブス誌は国の特徴を挙げ、ロシアの百万長者は皆、地方都市ではなく、モスクワに住みたがっているとし、一方アメリカの百万長者らは地方に住んでいても快適だと感じていると指摘している。

7.ロシアでもっとも地価の高い通りはモスクワにある。

 モスクワのストレシニコフ横丁。トヴェルスカヤ通りとペトロフカ通りをつなぐ歩行者天国である。この横丁の賃貸料は1平方メートルあたり1年で3,000ドル(およそ33万円)以上となっている。世界の地価が高い通りの中では15位を占める

 しかしながら、歩行者天国となってからは、駐車場がないことと、直接、ショップの前までクルマで乗り付けられないことからブランド店は一部の客を失っていた。現在はトレチャコフスキー路地にベントレー、ブリオーニ、Mercuryといったブランドが集まり、モスクワひいてはロシアでもっとも地価の高い場所の座をストレシニコフ横丁と競っている。

8.モスクワには「生粋のモスクワっ子」はいない。

 歴史研究家によれば、生粋のモスクワっ子は、モスクワ市民全体の5%以下しかいないと考えている。もちろん、「生粋のモスクワっ子」を公式に決定する基準などないが、数世代にわたって祖先がモスクワに住んでいる人を指すのが一般的である。しかしモスクワっ子自身、「生粋」と呼ばれるには何世代住めば十分なのかと論争している。

 「生粋のモスクワっ子」は話し方に違いがある、集団の中でより自由に振る舞う、そしてモスクワ出身ということに誇りを持っているが、大人になっても両親と一緒に暮らすのを好むという一般的な考えがある。

9.モスクワの犬たちは23時から7時まで吠えてはいけないという法がある。

 これはモスクワ市の法令に記されているもの。しかしながら法の違反をどのように取り締まるのかははっきりしない。というのも飼い主を訴えるには、その声が規定の大きさを超えたという専門家の鑑定が必要であり、そのためには隣人のドアのそばに立って、夜通し犬の鳴き声を聴き続けなければならないからだ。

10.モスクワの地下鉄はヨーロッパで最大かつもっとも深い。

 そして毎日の利用客の数では世界で第6位である。20189月に新たな駅が7開業して、モスクワ地下鉄の稼働駅は222となった。そのうちの多くが芸術作品と呼べるほど美しいものである。モスクワの地下鉄はその規模の大きさと歴史の深さで、多くの都市伝説を生んでいる。

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