噴火で森が滅んだ

豊富で多様なロシアの地形の中でも、活火山の連なるカムチャツカはとりわけ際立っている。ユネスコ世界遺産に登録されている火山群と噴火を目にし、時にはあらゆる生き物を滅ぼすこともある地球の熱い息吹が感じられる、世界でも珍しい場所の一つであり、時差のおかげでロシアで最初にご来光が拝めるスポットでもある。

イワン・デメンチエフスキー氏(37)

ネパール生まれ。異境や変わった場所に魅せられてヒマラヤ山脈に登り、シリア、アルメニア、カフカスの古代遺跡を探検した。チベットと絆が深い旧ムスタン王国(現ネパール)も訪れた。

 私たちはムチャツカでのサバイバルに関する映画の撮影のため現地へ空路で向かった。

  中心都市ペトロパフスク・カムチャツキーはスクワとの時差が8時間はまだ眠っている

  隣接するアバチャには観光客姿見えるだがたちはではなく火山方に向かった内役が言をくれた。

  「との鉢合わせにそなえて火筒をご用意ください。げようとしても駄ですから

  日の暮れるころ山の輪郭がえてきた。の果ての火山然保護区にいる実感が湧いてくる。山に登る前にたちは、数時間、でこぼこの砂利道に車を走らせた。

 

ムトノフスキー火山

モスクワから空路9時間

モスクワ発ペトロパブロフスク・カムチャツキー着の航空便を利用できる。所要時間は9時間。サハリンやウラジオストクから船で行くのも可能だが、移動時間は長い。カムチャツカへの鉄道はない。日本からはウラジオストク経由かハバロフスク経由で、ペトロパブロフスク・カムチャツキー行きの航空便が便利。ウラジオストクからは約3時間、ハバロフスクから約2時間半。航空運賃は6000~1万2000ルーブル(約1万8000~3万6000円)。

ムトノフスキー火山は界最強クラスの知られている

  渓谷の短い緩斜面を登っていくと、腐った卵のような臭いしてくる。地下深くから噴出する亜硫酸ガスが風に運ばれてくるのだ。

  最後の50メートル急斜面を登り切る、最初の噴気孔が見えるさに地獄絵のよう

 足は、小さな間欠泉がごぼごぼと音を立て、あち大きならはい蒸気がしゅうしゅうと出している。

 時折気まぐれな風が毒ガスの塊をこちらへ運んでくるで口をふさぐしかない。

 ムトノフスキー火山の噴気孔はと冬越すとがらりと様変わりするため、去年は難なく歩けた道が、今年は危険極まりない、ということがよくる。

 ムトノフスキー火山に登ったは、ゴレールイ火山の登山ど気楽な散歩のように思われる。

 美しい眺望、澄んだ空気、きらめ太陽クレーターの縁にたど着くと、眼下に氷片の浮かぶ湖が見え、にはさな壁を隔てて酸性の湖がんでいる。

 1960年代末、ロシアは宙開発に力を入れており最重要テーマの一つは査であった。のためには月面走行車が欠かせなかった。

 当時、学者らは、月面は火山の噴石とているとして、カムチャツカに注目した。6970、極秘ルバチク地区で、行車のさまざまテストが実施された。

 

トルバチクの大噴火

3つの見どころ

1. カムチャツカには哺乳類58種、鳥類232種、魚介類93種、植物763種(うち38種は希少植物)が存在する。
2. ソ連時代の1960年代に有人月旅行計画考案の際、探査車実験のため、月面に近い土壌の地が求められた。鉱滓(こうさい)状溶岩が最も近いとの結論から研究者たちはカムチャツカに注目した。トルバチク山周辺地域と月面の一致率は96%。
3. カムチャツカには美しい村カイヌィラン(コリャーク語で「熊の片隅(へき地)」の意)がある。ペトロパブロフスク・カムチャツキーから約40キロ離れたカイヌィラン文化センターは、熊の生息地見学を企画し、住居、犬ゾリ、舞踏、料理などの先住民の生活を紹介している。

 75の地区ではルバチクの大起き、1以上にわたり、獄を思わせる状態が続いた。

  火の玉は2キロ飛び散り、ガスの流出度は音速を超え

 ガスと灰は5~6キロ柱状に立ち上り、火山灰は1000キロたなびいた。

 植物は400平方キロ上にわたって全滅し、ようやく今、ところどころに下草が生え始めたころ

 私たちが野営を設けた日の午後クリュチェフスカヤ山がとどろきめた。くで軍の演習でもやっているのかと思われるほどだった

 ほどなく、私たちのテントっすらと灰が付着し始めたそして、巨大な白い柱が上空へ立ち上った

 それは溶岩が氷河に達したためだと後で分かった。

Geo Photo/Lori Legion Media撮影

火山灰の層は7メートル

 私たちがテントを張った場所からそう遠くないところにの森」、なわち、トルバチクの大噴火の際に滅びた森の残骸がある。

 不気味なことこのうえないこの場所は、さに恐山。故で墜落した飛行機の尾翼が転がってい

 死の森は半分が火山灰で埋まっている木立の上の部分である。の辺りでは火山灰の層の厚さが7メートルあり、植物が面に達するのはまだまだ先のことという。