モスクワに新たな歩行者天国30ヶ所

モスクワの街の様子は変わってきている。公園を建て直し、小公園に緑を植え、歩行者天国網をつくっている =Lori/Legion Media撮影

モスクワの街の様子は変わってきている。公園を建て直し、小公園に緑を植え、歩行者天国網をつくっている =Lori/Legion Media撮影

歩行者天国、モスクワ市内全域の自転車レンタル、教育の中心地としての公園が、モスクワの新たなトレンドだ。街は地元の人や旅行者など、歩行者に優しくなっている。

旅行者増に対応 

 モスクワの街の様子は変わってきている。公園を建て直し、小公園に緑を植え、歩行者天国網をつくっている。モスクワ市政府はなぜこのような活発な活動をしているのだろうか。専門家は、世界共通の観光トレンドと関係があると考える。

 数週間後には、クレムリンに通じるニコリスカヤ通りも、完全に歩行者用に変わる。現在は24時間体制の工事が行われており、花崗岩の板が敷かれている。今後は街灯、ベンチ、旅行者用案内表示などが設置される。

 モスクワのセルゲイ・ソビャーニン暫定市長は最近、昨年度の旅行者の数が過去最高となったことを発表した。モスクワを訪れたのは500万人。今年度の旅行 者はさらに50万人増えると、専門家は予測している。これほどの旅行者が訪れるというのに、街のインフラが現状維持というわけにはいかない。新たなトレン ドに従わなくては。

 

モスクワ市の歩行者天国・緑化プログラム 

 街がみるみる変化していく。ソビャーニン暫定市長は5月、中心部に歩行者天国をつくり、通りや小公園を緑化するという、大規模なプログラムを発表した。今 秋までには新たに30ヶ所の歩行者天国が誕生する。アスファルトは花崗岩の板に変わり、旅行者用案内表示が設置される。さまざまな方向に伸びる散歩網もで きる。また、サドヴォエ環状道路地区の手入れの行きとどいていない小公園20ヶ所が、緑化する。ソビャニン暫定市長は、この新しい観光網をモスクワ市文化 部が管理する予定だと話しているため、商業施設の建設は一切行われないだろう。

 

「人が変わり好みも変わる」 

 建築分野の専門家であるエレーナ・ゴンザレス氏によると、街の環境を変化させることが世界共通のトレンドとなっており、ロシアでは長い間これが無視され ていたものの、今やそうはできなくなってきたという。また、街の再建には投資価値があるという。

 「変わるのは街だけでなく、人の質もそう。市内からは製造工場が消えて、サービス分野が主流になりつつある。新しく利用する人々は通りを散歩し、カフェに入って、店を見て、友人と会うことを望む。そして整備された通りを望む。そうなれば外観や記念碑の修正も必要になる。周辺に何もない、ただ美しいだけの通りだったら散歩しないでしょう」。

 

歩行者用道路のプロジェクト「緑の蛇行」 

 ゴンザレス氏は最近行われた、モスクワ建築展「アルヒモスクワ」の展示会「緑のモスクワ」のキュレーターで、ロシアの設計会社「ワオハウス」の若き建築 家のグループと、モスクワ川の河岸を蛇行する数キロメートルの歩行者用道路のプロジェクト「緑の蛇行」を発表した。この多くがすでに完成している。人気の 街の観光ボートが停泊する、新しい埠頭駅「雀が丘」の新しい建物も紹介している。

 河岸の整備プロジェクト「緑の蛇行」は、モスクワ市文化部がモスクワの公園を建て直そうとしている大プロジェクトにも含まれている。文化部のセルゲイ・ カプコフ部長は、街でもっとも有名なゴーリキー公園の元園長だ。公園の建て直しはその時から行っており、その後部長になってからはプロジェクトの規模を拡 大し、街のほとんどの公園も対象とした。ゴーリキー公園やソコリニキ公園などの大きな公園は、錆びついたアトラクションがあって安いビールが売られている 未整備の公園から、講演会場、子供サークル、ヨガ教室、レストランのオープン・テラス、芸術品、屋外の現代ライブ音楽、レンタル自転車のある現代的なエリ アに変化した。

 

世界の街づくりの実績に学ぶ 

 ところでレンタル自転車は、モスクワ中心部の観光環状遊歩道や河岸通りなど、市内の多くの場所にある自動駐輪場から借りることができる。モスクワは世界 のトレンドを採用しているのだ。公園の建て直しの際は世界の公園建設の実績を、そしてレンタル自転車の設置の際はプラハの実績を参考にし、通りの整備には コンサルタントとして、デンマークの都市計画専門家、 ヤン・ゲール氏を呼んだ。ゲール氏は市政府の要望に応じて1年半モスクワを研究し、完全な街の再建案を書きあげた。これまで世界の数十都市にコンサルティ ングを行ってきた人物だ。

 歩行者と自転車利用者にとって快適な街づくりが必要だという。再建案にはいくつかの項目がある。自動車を減らす、通りから障害物や地下横断歩道をなく す、モスクワの遊歩道をすべてつなげる、歩行者に魅力的な広場をつくる、また河岸通りを遊歩道にする、冬の活動的な生活を支える、自転車用のインフラを整 備するなどだ。この項目のうちのいくつかはすでに採用されており、この調子で進めばモスクワは近い将来、世界でもっとも魅力的な観光都市の一つになるだろう。