ハイテク企業に年金資金を投資

ヴィターリー・ベロウソフ撮影/ロシア通信
 ロシアの年金基金には、急成長企業への投資が許可されうるが、アナリストらによれば、そのためには、国家による極めて厳格な管理が必要である。

 ロシア中央銀行の公式サイトでは、同行は、顧客の資金をヴェンチャー・プロジェクトへ投資することを民間の年金基金に許可するよう提案した、と述べられている。

 中銀の説明によれば、問題となっているのは、イノヴェーションや投資の市場のセグメントでの取引を許されたロシアの株式会社の証券であり、2018年7月から年金資金をこれらの証券へ投資することが、提案されている。中銀のデータによれば、投資の対象となっているのは、急成中のハイテク企業である。

 ロシア中銀の提案は、多くの点で、世界の慣例に矛盾しており、投資会社「フリーダム・ファイナンス」・ロシア株式市場運用管理責任者のゲオルギー・ヴァシチェンコ氏は、こう語る。「年金基金は最も長期的かつ保守的な投資者である、というのが世界的な通念であり、基金の資金の投資が許される対象は、極めて信頼できるツールに限られる」

 しかし、企業グループ「フィナム」のアナリスト、チムール・ニグマトゥリン氏は、年金資金は、ヴェンチャー市場へではなく株式が公開されている会社のハイテク市場へ投資される、とし、「これは世界で実践されており、そこにはリスクが少ない」と述べる。

 

収益率のアップ

 中銀の説明によれば、新たな提案により、年金基金の収益率が高まる。しかし、同行は、年金資金の投資の対象となる企業に対して厳格な基準を設けることを約束している。たとえば、キャピタリゼーションは、60億ルーブル(9250万ドル)以上でなくてはならず、会社は、国際標準に基づく自社の会計報告を公表せねばならず、独立した取締役を二人以上置かねばならず、浮動株いわゆるフリー・フロート(free-float)は、資本の10%以上でなくてはならない。

 露経済紙「RBCデイリー」のデータによれば、現在、26のヴェンチャー企業が、これらの基準をクリアーしており、取引所のデータによれば、2016年初めからのこれらの企業の取引高は、株式が455億ルーブル(7億200万ドル)、債権が810億ルーブル(13億ドル)、それぞれ上回り、総キャピタリゼーションは、2647億ルーブル(40億ドル)を超えている。

 企業グループ「テレ・トレード」のアナリスト、アナスタシア・イグナチェンコ氏は、「投資のセグメントへの運用の可能性が拓かれることで、たしかに、年金基金が提案する商品のラインアップは拡がるが、その一方で、このプロセスの複雑化が生じる」と述べる。同氏によれば、ロシアでは、このセグメントは、今のところまだ萌芽期にあり、投資家にあまり人気がなく、収益は期待できるもののリスクが高いとみなされている。

 

主な結果

 専門家らは、中銀の発意の好い結果として、預金される年金額の減少を挙げている。企業グループ「フィナム」のアナリスト、チムール・ニグマトゥリン氏は、「基金の銀行預金が40%から25%に減るだけで、国内の金融市場のより急激な発展がもたらされる」と述べる。同氏によれば、一方、インフレ率や金利の低下を背景に預金の利率も下がり続けるため、年金基金の預金者も得をする。また、利率の低下は、証券および債券の市場における資産額の増加のテンポを加速する。新たな措置は、早くも1年半後には、モスクワ証券取引所の長期的な市況に好い影響を及ぼしはじめる。

 「オトクルィチエ・ブローカー」社のマクロ経済担当の社長顧問、セルゲイ・ヘスタノフ氏は、多くは、リスクのあるツールへの投資を許される資金の割合を定める条例にかかってくる、と述べる。同氏によれば、その割合が10%以下であれば、リスクをさほど高めることなく潜在的な収益率の際立った向上を可能にするので、この決定はただただ歓迎しうるが、この割合を10%以上にすれば、損失のリスクは脅威的なものとなる。