サンクトのコムナルカの住人たち

PhotoXPress
 21世紀になってもなお、サンクトペテルブルクはロシアの「コムナルカ(共同住宅またはシェア・マンション)」の中心地になり続けている。公式データによると、その数は約8万2010。コムナルカには10~20部屋ほどあり、それぞれに個別の家庭が入っている。全居住者が一つのキッチン、トイレ、シャワーを共同使用する。シャワーは常にお湯が出るわけではない。サンクトペテルブルクにはコムナルカの住人向けの転出プログラムがあるが、多くは引っ越しを望んでいない。

 市内中心部のリガ大通りのコムナルカには狭い廊下が長く続く。暗闇の中、必要な扉を探すが、誰かの大きな棚にぶつかる。私が訪ねようとしているのは、大きな10部屋のうちの一室。そこにはヴァシリー・パスカチョフさん(27)とアリーナ・ベリキナさん(26)が暮らしている。

 ロシア革命以前のどの家もそうであるように、天井のとても高い、明るい部屋が私を迎える。アリーナさんとヴァシリーさんは自分たちで改修しているため、他の部屋よりもずっと明るく、さわやかだ。アリーナさんの育てている花と、ヴァシリーさんの建築プロジェクトのスケッチがあちこちにある。

ヴァシリー・パスカチョフさん(27)とアリーナ・ベリキナさん(26)=アナスタシヤ・セミョノヴィチ撮影ヴァシリー・パスカチョフさん(27)とアリーナ・ベリキナさん(26)=アナスタシヤ・セメョノーヴィチ撮影

コムナルカは通過地点

 「隣人のピョートルはここに30年暮らしていて、すっかり慣れてお気に入りだと言ってる。ここでは人との交流が盛んだから。ピョートルがしらふな時をほとんど見たことないけど」とヴァシリーさん。

 コムナルカは2人にとって、学生寮と持ち家の間の通過地点だ。カレリア共和国からここに来て学んでおり、サンクトペテルブルクに残る予定。コムナルカの部屋の価格は普通のマンションの数分の1だ。予算が少なくとも、中心部に暮らすことができる。

 コムナルカで大切なのは、自分の場所を「確保」すること。「例えば、私たちにはクローゼットがない。昔からの住人にすべて使われてる。こんなことで誰とももめたくない。本来であれば、私たちにもクローゼットが割り当てられるべきなのだけど」とアリーナさん。

 「転出プログラムがあることは知ってる?ここから引っ越すと、補償金を受け取れるのだけど」と聞いてみた。すると、アリーナさんはこう答えた。「聞いたことはある。でもこういうのはあまり信用してない。転出で受け取れる資金は少ないから、郊外の新しいマンションさえ買うことはできない。この部屋をローンで買って、将来売る方がいい。改修済みだし、不動産価格はあがる一方だし。その利益で、緑豊かな郊外のマンションを買うことができる」

 転出プログラムでは、2人の部屋は66万ルーブル(約106万円)ほどである。新築マンションであれば、少なくとも150万ルーブル(約240万円)はする。

 2人は、コムナルカを便利だという。「サンクトペテルブルク市外れの地下鉄から遠い、まともなインフラもない地区の30階建てに住むよりも、隣接する郊外の街に住みたい。今はここが便利。職場に近いから」

 

安定した収入

アナスタシヤ・ソコロワさん(31)= アナスタシア・セメノーヴィチ撮影アナスタシヤ・ソコロワさん(31)= アナスタシア・セメノーヴィチ撮影

 多くの所有者はコムナルカの複数の部屋を貸し、安定した受動的所得を得ているため、国からの1回限りの補償を受け取る意味はないと考えている。リガ大通りの市内ど真ん中にある大きなコムナルカは、そのようなシステムで運営されている。安全ではない場所、小さなバー、軽食堂のあるこの地区の古い第56棟もコムナルカ。14部屋のうちの最上階の一室に暮らすアナスタシヤ・ソコロワさん(31)が、私を迎えてくれた。

 家賃は1万5000ルーブル(約2万4000円)。この部屋の広さは約20平方メートルで、二窓あるが、シャンデリアはない。「お湯は出ない。食器を水で洗わなくちゃいけない。シャワー室にはここの女性所有者がボイラーを設置した。ここはシャンデリアがないから、明かりが足りない。私は芸術家だから、絵を描くには暗いの」とアナスタシヤさん。

 アナスタシヤさんがコムナルカを借りたのは、中心部に暮らしたかったからだ。この家賃ならば、市の外れで小さなワンルーム・マンションを借りることもできる。同じコムナルカの他の住人も、地方から来ている働く若者だ。互いに助け合い、対立することはめったにない。夜でも自分の部屋の扉を閉めない。

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