ウクライナ難民が続々と帰国

ロイター通信

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ロシア連邦移民局(FMS)は、ロシアからウクライナ難民が出国していることを伝えている。欧州安全保障協力機構(OSCE)の監視団も、ウクライナ南東部に戻る難民の増加を確認している。難民の帰国は、ロシアで仕事を探す際に直面する困難に関係しているのではないかと、専門家はみる。

 FMSは帰国するウクライナ難民の増加について発表した。帰国の流れの始まりについては、3月中旬にすでに伝えていたが、4月下旬には、ウクライナに残した自宅に戻る難民の傾向を改めて認めた。

 

難民の出国

 FMS市民権課のリリヤ・アレストワ課長代理は、ウクライナ南東部の停戦合意に署名が行われた日からちょうど1ヶ月となる3月12日、難民が南東部に戻り始めていると伝えていた。ただこの時は、「様子をうかがう」ための一時帰国である可能性も排除していなかった。FMSモスクワ支部は4月23日、難民の出国が継続していることを認め、同時にその人数は著しくはないと説明した。

 ロシアとウクライナの国境検問所2ヶ所で活動しているOSCE監視団も、帰国するウクライナ人の数がここ数週間増加していることを明らかにした。

 

特別な対策が必要

 ロシアの一部専門家は、既存の官僚主義の弊害により、ロシアでなかなか就職できないことも、少なからず関係しているのではないかと考える。

 社会プロジェクト支援基金「21世紀の移民」の理事で、元ロシア連邦移民局副長官のヴャチェスラフ・ポスタヴニン氏も同じ考えだ。ウクライナ難民を一般の外国人労働者とは異なるカテゴリーに配分し、一時在留許可証の手続きを簡略化すべきだという。一時在留許可証を受け取った人には就労権が発生する。だが一時在留許可証を受け取るには、面倒な一連の手続きを経なければならない。

 専門家によると、政府は昨年、難民の窮状を緩和するために、就職を許可する一時避難所を難民に大量に提供した。FMSはロシアNOWの取材に対し、昨年6月には一時避難所入所申請の審査期間を3ヶ月から3日に短縮した、と説明している。

 しかしながら、ポスタヴニン氏によれば、入所期間は1年で、難民のなかには地元に家や親族を残してきた人が多いにもかかわらず、この間の出国が許されていない。

 

申請書が足りなくて

 さらに、FMSの申請書が不足したため、代わりにA4サイズの普通の用紙が配られていた。昨年8月末にウクライナ南東部からロシア南部のヴォロネジ市に避難し、自ら難民支援ボランティアを行っているヴィタリー・ボガトィリョフ氏は、ロシアNOWの取材に対し、このような書類を持っている人を雇用主はあまり雇いたがらないと話す。FMSは昨年秋、見た目がこのような文書でも法的効力は正式な申請書と変わらないと、公に発表することを余儀なくされた。

 それでも、ヴォロネジ市の難民は、仕事を見つけることができるという。洗車場やタイヤ専門工房などでの資格を必要としない仕事はたくさんある。このような場所には許可証がなくても就職できる。雇用主は「南東部に同情している」ため、責任とリスクを自ら負うのだという。

 

避難民の5%しか就職できない

 一方で、就職先が不足していることが難民の主な問題だと話す人もいる。ロストフ州のウクライナ難民の就職支援を行っている「ヘルプ・ドンバス・ピープル」グループのメンバー、アーラ・バチュニャさんによると、地元住民の就職先もそれほど多くはないため、就職をめぐる状況は厳しいのだという。また、雇用主がロシア以外の身分証を持つ人を雇いたがらず、雇用する場合はやはり非公式となる。その結果、避難民のうち就職できるのはわずか5%で、それもゴミ収集や警備などの職種を選ぶ用意のある人だと、バチュニャさんは説明する。