タス通信
カムチャツカ半島沖のオホーツク海で現地時間2日午前4時12分、ダリニー・ヴォストクが難破した。現時点で、56人の死亡、63人の救出、13人の行方不明が明らかになっている。船は15分で完全に沈没し、SOSの発信も間に合わなかった。捜査当局は、事故原因として、船が障害物と衝突し、それによって船のエンジンルームが浸水した可能性が高いとしている。他の可能性の中には、安全基準違反(過積載)もある。「水上輸送機関輸送・操業安全規則の違反」の容疑で刑事事件として立件された。
漁船に乗っていたのは132人。ロシア捜査委員会のウェブサイトによると、国籍の内訳はロシア人78人、ミャンマー人42人、バヌアツ人5人、ラトビア人3人、ウクライナ人4人。救助された乗組員の状態は重篤または非常に重篤で、全員に低体温症が見られる。何人かは意識不明になっている。
捜査委員会はすでに、捜査の指揮をとっている。難破船対応本部は、船体が氷の影響を受けて変形し、部分的に破損した可能性がある、と考えている。
一方で、非常事態省は「障害物との衝突」とは考えていない。「現時点の情報では、漁船の乗組員は漁業規定に違反していた。燃料残量の少なくなっていた漁船が約80トンの重さのトロール網を引きあげ、もう一つのトロール網をおろした。荒波の条件のもと、漁船は傾き、沈み始めた」と、地元の非常事態省総局はインテルファクス通信に語った。この時、強風が追加的な要因になった可能性も排除できない。
カムチャツカ地方のセルゲイ・ハバロフ副知事も、より可能性の高い事故原因として安全規則違反をあげている。漁船が100トンのトロール網の引きあげを行っていたという。「船長と一等航海士は死亡した。情報は助かった三等航海士から得ている」とハバロフ副知事。
「ライフニュース」テレビは、船主の消息筋の話として、死亡したアレクサンドル・プリトツキー船長(48)が極東でも指折りの優秀な船長で、漁獲記録保持者だったと伝えている。「だが、我々のビジネスの問題の一つは、船長たちが仕事に熱中し、リスクを取る傾向にあること」と消息筋。
「捜査当局は現在、漁船の技術的状態に関する書類や出航許可書類などを押収している」と、捜査委員会極東輸送機関捜査部のオクサナ・ポルシャコワ部長はロシア通信に話した。助かった乗組員にも聞き取りを行う計画であるという。
船主の会社「マゼラン」の広報担当者は、漁船の技術条件はすべて整っていた、とロシア通信に話した。「トロール船は2014年の終わりに修理されたばかり。そのため、技術的な欠陥によって船が沈没したのではないかという質問は適さない」と広報担当者。マゼラン社は同時に、乗組員が定期的に通信を行っており、最後に連絡があった時にはいかなる技術的な問題の報告もなかった、と説明している。
現在、事故水域の水温は約零度、風速毎秒23メートル、風浪階級3。このような冷たい海の中に現在も取り残されている行方不明の乗組員が、生存している可能性はほぼないと、当局の関係筋がロシア通信に述べている。ウェットスーツを着用していても、このような条件のもとでもちこたえられるのはせいぜい15~20分。
マゼラン社はすでに、死亡した乗組員の遺族と、手当を受けている乗組員の家族に、補償金を約束した。また、遺体輸送費用も負担する。
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