外国人の労働合法化に新規定

タチアナ・アンドレエヴァ撮影/ロシア新聞

タチアナ・アンドレエヴァ撮影/ロシア新聞

来年1月1日から、ロシアへの入国ビザが不要な国の労働者は、許可証がなければ合法的と見なされなくなる。許可証の取得は有料で、ロシア語、歴史、法律の試験に合格しなければならない。また、医療保険の支払い、健康診断、指紋鑑定が義務となる。政府はこの改革によって、労働合法化システムを透明にし、許可証の取得料として得る資金を地方予算にまわすことができれば、と期待する。専門家は、これでは“闇に去る”か、ロシア行きを断念するかの選択肢しか外国人労働者に残らなくなると考える。

 ロシアへの入国ビザが不要な国民についての労働規定は、来年1月1日に発効する。就労希望者は自分で労働許可証を取得し、ロシア語、ロシア史、ロシア連邦法の基礎の試験を受け、医療保険を支払い、健康診断、指紋鑑定を受けなければならなくなる。

 許可証のシステムは以前もあったが、就労先は個人のもとに限られていた。法人は採用割り当て人数にしたがい、外国人採用許可証の申請を行っていた。この時、許可件数も限られていた。新たな規定はこの障壁と割り当て制度を排除している。これによって許可証にもとづく就労は法人でも許される。同時に、許可証取得料が引き上げられる。これまでの全国統一価格1200ルーブル(約3000円)はなくなり、地方が地元の経済および人口の状況に応じて価格を設定する。

 ロシアへの入国ビザが必要な国の市民については、これまでと同様、割り当てにもとづいて採用が行われる。ロシア連邦移民局のデータによると、このような人は20%以下。外国人労働者の多くはウズベキスタン、タジキスタン、ウクライナなどのCIS諸国の市民である。

 

地方は過剰人員を調整できる

 採用割り当て人数は非効率的であったため、廃止は妥当だと専門家は考える。

 「割り当ては雇用者の事前申請にもとづいていた。闇業者はこれを利用して、架空の会社を登録し、割り当てを受け、人材の取り引きを行っていた」と、ロシア国立研究大学「高等経済学院」全国調査機関移民政策センターのオリガ・チュジノフスキフ所長は説明する。

 新しい規定の最初の課題は、悪質仲介業者を市場から締め出すこと。これからは労働許可を得るのが雇用側ではなく、外国人労働者自身になる。次の課題は、地方政府が労働市場の状況の変化に対応できるようにすること。地方自治体は許可証の取得料金だけでなく、発給件数を定めることができるようになる。

 ロシア下院(国家会議)のウラジーミル・プリギン議員はこう説明している。「割り当ては長期的だが、労働市場は変動する。今のように経済状況が変わこともある。ある分野の人材が過剰な状態にあると自治体が認識した場合に、許可証の発給を止めることが可能。このようにして分野や地方の需要をふまえながら、外国人労働者の受け入れを柔軟にできるようになる」

 モスクワは許可証の新料金を3倍強の4000ルーブル(約1万円)に引き上げた。これによって地元予算を120億ルーブル(約300億円)増やすことができるという。

 社会プロジェクト支援基金「21世紀の移民」の理事で、元ロシア連邦移民局副局長のヴャチェスラフ・ポスタヴニン氏は、ロシアで働くために年間10万ルーブル(約25万円)ほどが必要になると試算する。許可証の取得料以外にも、受験料、医療保険料、健康診断料、指紋鑑定料などを支払わなくてはならない。

 

諸費用に+生活費

 許可証の規定を変えて、既存の外国人労働者の問題を解決できるのだろうか。専門家の見方は懐疑的である。「モスクワは、市内にたくさんの外国人労働者がいて、そのような人は必要な支払いを行っていないと考えている。支払いを行うようになるのか、『闇に去る』のかは、時間の経過とともに見えてくるだろう。だが生活費や食費の出費があるため、その多くは義務的な支払いを行わないのではないだろうか」と、ロシア連邦移民局付属社会評議会副議長で、国際連合「労働移民」幹部会の会長であるニコライ・クルジュモフ氏は話す。

 モスクワ・タジキスタン・ディアスポラの代表で、社会運動「タジキスタン労働移民」の代表でもあるカロマト・シャリポフ氏も、同様に考える。「許可証の取得料は以前も高かったが、これからもっと上がる。路上生活になってしまう」