外国料理の教室が大好き

キリル・カリニンニコフ撮影/ロシア通信

キリル・カリニンニコフ撮影/ロシア通信

外国語で教える外国料理の教室を企画したところ、ロシア人にとても好評だった。参加の主な目的は楽しい時間を過ごすこと、外国語で会話することであるが、当然ながら、料理に夢中な人もいる。料理教室で教える外国人は、これを文化交流の優れた手段だと考える。

 3年前、私は英語教師として働きながら、「英語を使うにはどこへ行ったらいいか」との質問を生徒からしばしば受けていた。外国語を学んでも、その国の人と交流する機会はなかなかない。そこで私は、外国語で行う料理教室を企画、実施し始めた。料理の先生はロシアにいる外国人。生徒は外国語学習者。料理教室に来る人の多くは、それほど料理に興味を持っていなかった。重要な目的は外国語での会話と交流。料理に関心を持っている生徒は、わからない用語について質問し、メモしていた。

 

胃から知るあこがれの国

 料理教室では、その国の旅行に関する話題が多い。海外旅行の経験が豊富で、さまざまな国の料理の違いをよく知っている参加者がいる一方で、特定の国に行くつもりでその国の料理教室に参加している人もいる。そのような生徒は、どこの博物館を訪問すべきか、どこで宿泊すべきかを先生や他の生徒に熱心に聞く。

 オレシャ・イワシキナさんはモスクワ在住。外国料理の教室によく通っている。新しい国の文化に浸り、外国語で会話し、新しいレシピを覚え、楽しい時を過ごし、新しい知り合いを見つけるのに最高の機会だと話す。

 

専門家と芸術家

 先生はプロの調理師や愛好家など。料理よりも先生に興味を持つ生徒の方が多い。なぜロシアに来たのか、なぜここに長く暮らしているのか、好きか嫌いかなどについて質問し、教室が終わる頃には新しい料理と文化を教えてくれた先生にすっかりなついている。

 日本人の中川亜紀さんはモスクワに3年暮らし、ロシア語を覚え、日本に帰国した後、日本人向けのロシア料理教室と希望者向けの日本料理教室を開いている。現在はモスクワを訪問して、教えている。日本料理には、外国人が考えるよりもヨーロッパ料理に近いレシピがたくさんあると話す。「その日つくったのは、茄子と味噌を使ったドリア。和食に興味のあるロシア人にとって、味噌と茄子という組み合わせは味覚としては日本風で新しいものの、チーズを乗せてオーブンで焼く調理法という馴染みのあるもので、口に合いやすかったよう。また、茄子の揚げ浸しをつくった時におもしろかったのは、多くのロシア人が『口に合う味なのに、どんなものからつくられているのか、想像できなかった』と言ったこと」。ショウガ、ニンニク、ネギは誰もが知っており、ロシア料理にも使われていると話す。「それらをみじん切りにして炒め、しょうゆ、酢、砂糖と合わせるという調理法自体がとても新鮮だったよう」

 モスクワにいた3年間で、非伝統的な料理法にもとづいた、不思議な組み合わせのレシピが生まれた。料理を通じて他国の文化と人を知ることができる、と中川さん。「料理をただつくるのみならず、なぜそのような調理法になったのか、伝えながら味を楽しんでもらうことで、ロシア人が日本を知り、逆に日本人がロシアを知ってくれるよう、両方の国でお互いの料理を紹介し続けていきたいと思っている」

 

外国人のためのロシア料理

 外国料理の教室以外にも、モスクワには外国人向けのロシア料理の教室もある。モスクワに暮らしている人、数日の予定で来ている旅行客などもいる。ボルシチ、ピロシキ、ビーフストロガノフなどのなじみのあるロシア料理のつくり方を学びたいと思っている人、レストランでただ注文するのではなく、ロシア料理の調理過程に参加し、ディルという不思議なハーブをピロシキやヴァレニキ(水餃子風の料理)など、あらゆる料理に使う理由を知りたいと思っている人などがいる。ロシアやロシア人をもっと知りたい、料理だけでなく、宴席の伝統、ロシア料理の歴史をもっと知りたいという思いが、参加者をひとつにする。

 先祖がつくっていたピロシキのレシピを知ろうと、ロシア系の外国人も教室に参加する。アメリカでピロシキはよく、ヴァレニキと呼ばれているそうだ。ある時、オーストラリアの年老いた女性が私のところに来た。夫がロシアにルーツを持っているため、その国について知りたいと、ロシアを訪れた。数日間の滞在プログラムの主要な部分がロシア料理教室だった感じるほどの、熱の入れよう。その女性はヴァレニキやシチー(キャベツのスープ)のつくり方を熱心に観察し、オーストラリアに帰ったら必ず、夫、子ども、孫のためにロシア料理をつくると言った。

 多くの教室参加者が、こうやって学んだ料理をつくる。料理のレシピは旅行の一種のおみやげ。友だちや親戚とわかち合うことができる。